強烈な個性放った鈴木正文編集長

 さらに私が入る直前、89年から編集長を担当されたのが現『ENGINE』誌編集長の鈴木正文さんだ。鈴木さんは今なおお世話になっていることもあり、親愛の情を持ってどんどん書いてしまうが、私の仕事人生に最も多くの影響を与え、そして怒られた厳しくも素晴らしい師匠である。

 鈴木さんは原稿をキャプションを含め一言一句すべて読むのはもちろん、写真も特に走り関してはタイヤ一本のずれ、ほんの少しのボディの角度の違いにもこだわった。

表紙の細部にも徹底的にこだわる(画像クリックで拡大)

 また、鈴鹿サーキットで取材を終えてクルマで帰る時、電話したら「2時間で帰れるだろ」とマジメに言われたのにはビビった。

 要するに精神は時間を超え、すべてを超えると思ってるかのようなキョーレツなお方。

 特に凄いのは共産主義と現代的な物欲を見事に両立している面だと思う。元々学生運動の活動家で、全共闘時代は東大安田講堂に最後まで残ったそうだ。

 それだけに、私の様な軟弱かつ不勉強な学生はいとも簡単に論破され、脆弱なプライドは木っ端微塵になった。