装着感も良好、顔つきもハンサムに。

外装も良くなった。

昔のL.U.Cは、ムーブメントはいいけど、外装はちょっと…という印象が否めなかった。デザインではなく品質の詰めが甘かった。しかしここ数年、外装の質感は、ムーブメントに並べても遜色ないほど向上した。ケースの面はよく出ている(つまり歪みが少ない)し、文字盤とケースの間にも、無駄な隙間がない。文字盤の発色も見事で、これならば時計愛好家以外にも、胸を張ってお勧めできる。

少なくとも、アンダー100万円で長く使える時計が欲しいなら、間違いなくマークIII クラシックを買うべきである。素っ気ないほどシンプルだが、品質は文句なしにいい。あまり目立たず、装着感に優れるのも、マークIII クラシックの美点だろう。加えて、時計をひっくり返すと、素晴らしいL.U.Cムーブメントまで拝めるという、オマケ付きだ。

飽きの来ない良質な時計だから、一言で言うと、wonderful buy!

ショパールマニュファクチュール。フルリエ村にある、L.U.Cのファクトリー。ショパールは、まずムーブメントを作る前に、工場を建て、技術者を集めるところから取り組んだ。その地道な姿勢は、いかにもドイツ系オーナーの会社(オーナー一族のショイフレ家は南ドイツの出身)らしい。

時計なんて、買うまでは加点法だが、買ってからは減点法で評価される。

一見、目を惹く時計であってもアラが目立つ時計は、間違いなく飽きてしまう。アラというのは、文字盤とケースの間に隙間があるとか、装着感が悪いということだ。残念ながら、急ごしらえのプロダクトには、そういったものが少なくない。

一方マークIII クラシックは、ぱっと見目を惹きにくいが、ネガティブな要素が極めて少ないのである。こういった時計は、長く使っても飽きが来にくいはずで、つまりは本当の意味で、賢い投資なのである。ここまで褒めて今さらだが、個人的にはマークIII クラシックの良さは、あまり知られて欲しくない。理由は簡単で、知られると今以上に買えなくなるからだ。良さは分かって欲しいが、知られすぎると困る。マークIII クラシックとは、そういう時計なのである。

プロフィール

広田 雅将(ひろたまさゆき)

1974年生まれ。大阪府出身。時計に魅入られて早20年。自身で購入した時計の延べ総数は約1000本にも及ぶ。大学卒業後サラリーマン 生活などを経て、2004年から時計ジャーナリストに。現在は、時計専門誌『クロノス』などを中心に活躍。その博覧強記、鋭い独自の 視点は日本のみならず世界からも注目の的で、多くの時計担当編集者から「博士」の愛称で呼ばれる。