マークIIIは凝った機構のままでL.U.C 1.96の半分以下の価格

僕は、設計者にあたる、ダニエル・ボロネージ氏と酒を飲んだことがある。

詳しくは『クロノス日本版』にも書いたが、彼はパテック フィリップのキャリバー27-460が好きだと語った。27-460は、パテックが作った機械式自動巻時計の最高峰で、L.U.C同様にラチェット式の自動巻を備えたものだ。L.U.Cは、マイクロローターにせよ、ラチェット式の自動巻にせよ、コストが優先される現代では珍しいほど凝った機構を載せている。なるほどボロネージ氏の好きな27-460も、途方もなく手間のかかった機械だ。それを好む人物が設計するムーブメントならば、古典の名機に並ぶほど、複雑で手間のかかったものになるだろう。

マークIII クラシックが載せているのはL.U.C 1.96の廉価版。とはいえ大きな違いは緩急針がトリオビスに代わり、ローターが22Kからタングステン+金メッキに変更され、そして細かい仕上げがジュネーブシールの基準によっていない程度だ。

それだけの変更で、価格が半分以下なのだから、はっきり言ってお買い得だ。ケース素材がステンレス、ということを割り引いても“wonderful buy”というほかない。L.U.Cはそれほど魅力的なムーブメントなのだ。

こちらはグレー文字盤。注目すべきは、ケースの面。ベゼルをみると、陰の歪みが小さいことが分かる。ケースの面がフラットに出ていないと、こういったニュアンスは出ない。ケースまで自製するショパール。かつては外装にやや難を感じさせたが、ここ数年は際だった質感を得ている。この価格でこの質感なら“wonderful buy”だろう。

シルバー文字盤。個人的にお勧めなのは、シルバー文字盤。端正な意匠がいっそう際だつ。なお直径39.5mmのケースに27.40mmのムーブメントを納めているため、スモールセコンドの位置が、どうしても中心に上がってしまう。しかしショパールはスモールセコンドを6時位置に拡大し、寸づまり感を解消している。