玄人好みの凝ったラチェット式の自動巻機構

L.U.C 3.96。基本設計は1996年初出の1.96に同じ。ジュネーブシールがないほか、巻き上げヒゲが平ヒゲに変更されたが、基本設計はほぼ同じ。極めて複雑な構成を持つ自動巻だ。ショパールの人間が「唯一の問題は生産性」と語るのも納得だ。自動巻(ラチェット式)。2万8800振動/時。29石。パワーリザーブ約65時間。

L.U.Cコレクションが非凡な理由は、ひとえにムーブメントにある。

初出のL.U.C 1.96は、マイクロローター式の自動巻を備えている。マイクロローターとは、ゼンマイを巻き上げるローターを、ムーブメントに埋め込んだものを指す。自動巻ながら、ムーブメントを薄くできるのが特徴だ。高級時計の定石ともいえる機構だが、ローターが小さくなるため、腕を振ってもあまりゼンマイが巻き上がらない。そのため、多くのマイクロローターは、比重の重い金などをローターに使って、巻き上げ効率を高めている。

加えてL.U.Cは、自動巻機構にラチェット式を選んだ。詳しい説明は省くが、これはローターを爪の左右運動に変え、ゼンマイを巻き上げるという機構である。巻き上げ効率はいいが、その代わりにスペースを要する。そもそもスペースの必要なラチェット式の自動巻を、マイクロローターに押し込めてしまう事自体に無理がありそうだが、ショパールは巧みな設計でその問題をクリアした。

おそらく、現行のマイクロローターで、もっとも巻き上げ効率に優れているのが、ショパールのL.U.Cだろう。