ショパールは、言わずとしれた宝飾・時計の会社である。時計やジュエリーに詳しくない人でも「ハッピーダイヤモンド」のことはご存じだろう。仮に名前は知らずとも、「文字盤の中を、ダイヤモンドがくるくる動く時計」といえば、「ああ、あれか」と合点がいくに違いない。

 今やジュエラー(宝石商)として認識されているショパール。しかし同社が、優れたマニュファクチュールであることは意外に知られていない。そのショパールを代表する傑作が、ショパール マークIII クラシックである。

(文=広田雅将 監修=プライヴ編集部)

有名“宝石商”が自社一貫生産で挑んだ高級時計

ハッピーダイヤモンドの成功で、ショパールはジュエラーとしての名声を獲得した。それはショパールにとって良いことだったが、一方で、ティピカルなイメージが根付いたことは否めない。それを覆すべく、共同社長のカール-フレドリッヒ・ショイフレ氏は、マニュファクチュール(自社一貫生産)による、L.U.Cコレクションの製造に乗り出した。1996年のことである。ちなみにL.U.Cとは、創業者のルイ-ユリス・ショパールに由来している。

詳しいいきさつは知らないが、彼はショイフレ家(オーナー一族)の家族会議での猛反対を押し切って、自社一貫生産に取り組んだという。猛反対を押し切り、しかもわざわざ創業者の名前まで冠したのだから、L.U.Cコレクションに対するショイフレ氏の思い入れは、よほど強烈だったに違いない。もちろんそんなコレクションが駄作になるはずはない。

僕自身、L.U.Cはどれも好みだが、もっとも欲しいのは「マークIII クラシック」だ。この価格にしてこの仕上げとスペックは、ほかのメーカーではちょっとあり得ない。ショイフレ氏の意地と思い入れが感じられる、傑作中の傑作だろう。

入念な作り込みが際だつドレスウォッチ。シンプルゆえに内外装の質感が際だつ。搭載するL.U.C 3.96は現行自動巻の白眉。かなり「玄人」好みの時計だが、実のところ、これほどビジネスウォッチ向きの時計もないだろう。自動巻(L.U.C 3.96)。直径39.5mm×厚さ8.50mm。SSケース。64万500円。