自然の力を味方に付けて、極力、農薬を減らす工夫を

 現在、75%農薬減、50%化成肥料減の、“高度クリーン”と呼ばれるななつぼしを作っている。農薬の使用を最小限にするため、田んぼにカメムシ用のフェロモントラップを設置。カメムシが掛かる数を観察したうえで、必要に応じて少量の農薬を使うように心掛けている。

黒い筒状のネットがカメムシ用のフェロモントラップ。カメムシのメスの臭いを発するネットにオスをおびき寄せて捕獲する。田んぼ内にこの罠を6つ設置
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 田んぼの脇で爽やかな香りが漂っていた。ハーブの一種、アップルミントを栽培しているのだ。

 「料理用ではありません(笑)。10年前、芦別市きらきらぼし生産組合の前組合長、山本英幸さんにハーブには害虫を防ぐ効果があると教えてもらいました。以来、田んぼのそばでアップルミントを育てています」

アップルミントが田んぼの近くに植えてあった。ハーブには防虫効果があることから、植えることにしたという
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 なぜ芦別産のななつぼしはおいしいのか。「米作りに最適な自然条件がそろっていることが一番の理由です」と山崎さんは力説する。

 山に囲まれた盆地なので、気温が1~2度高い。加えて昼夜の寒暖の差が大きいことも、おいしい米が実る要因のひとつだ。「星の降る里」芦別は空気だけでなく、水もきれいで、旨いのだそうだ。

 町の中心部から北西5kmほどの場所にイルムケップ山という標高約865mの山がある。

ハイキングコースとして親しまれているイルムケップ山。山名は、アイヌ語で「エルム・ケップ」(岬・削られたところ)に由来するとされる。写真提供/芦別観光協会
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 その山に降った雪解け水を水源とする川にパイプラインを引き、田んぼの用水として活用している。その水がどのくらいきれいなのか。

 今年の5月下旬、山崎さんが撮影した写真を見せてくれた。

 「うちの田んぼの脇で撮った浮遊性のコケ植物の一種、イチョウウキゴケです。水がきれいな所にしか生息しないといわれています。10 年ほど前、生物観察会に参加した子供が、前会長、山本さんの田んぼで発見しました」

 葉っぱがイチョウのような形をしていることから、その名がある。かつては各地の田んぼで見られたが、水質汚濁や農薬の影響で減少。環境省のレッドデータブックでは準絶滅危惧種に指定されている。7年前、山崎さんの田んぼでもイチョウウキゴケを確認。毎年春先に見ることができるという。

山崎さんが今年の5月下旬、田んぼの脇で撮影したイチョウウキゴケ。左右の長さは10~15mm。写真提供/山崎直人さん
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