和食の素晴らしさが見直される昨今、その主食たるお米への関心が高まっている。全国各地で作られるブランド米が広く流通し、今や産地や銘柄を指名買いする人も増えているという。やっぱり日本人はお米が好きなのだ。そこで、お米にこだわりのある「ご飯がおいしいとっておきの店」を食の通たちに推薦してもらった。ご飯がおいしいと評判の店は、どんなお米を使い、工夫をしているのだろうか。

今回の食通は、一般社団法人おにぎり協会 代表 中村祐介氏
飯塚精米店を推薦します! お米屋さんなので米の目利き力は言わずもがな。20種以上のおにぎりを販売しており、無農薬コシヒカリを使った梅や鮭といった王道具材だけでなく、ヨーグルトを加えて炊いた玄米のおにぎりなど、常に新作おにぎりを試行錯誤している研究熱心なお店です!
おにぎりを日本が誇る「ファストフード」であり「スローフード」であり「ソウルフード」であると定義し、その文化的背景も含めて国内外への普及に努める。ミラノ万博にも参加し、日本館のイベントでおにぎりの魅力を世界に発信した
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オリジナルのブレンド米を使用

 おにぎり協会の中村氏からの推薦を受け、やってきたのは東京・碑文谷。東急東横線の学芸大学駅から徒歩5分、路地を入った閑静な住宅街にある「飯塚精米店」を訪れた。どうやらここで販売している「おにぎり」が絶品らしい。

飯塚精米店
【住所】東京都目黒区碑文谷 6-1-5
【営業時間】7:00~20:00
【定休日】日曜日、祝日
【TEL】03-3712-7281
【ホームページ】http://www.iizukakometen.co.jp/
【Facebook】https://www.facebook.com/iizukakometen
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 飯塚精米店は、その名の通り親子2代で切り盛りするお米屋さんだ。米店としての歴史は古く、今から60年以上も前の昭和27年創業の老舗で、農林水産大臣賞も受賞した優良店。現在も米の販売を生業とするかたわら、おにぎりも店頭で販売している。

 おにぎりの販売を始めたのはいつ頃で、きっかけは何だったのか――。同店によると、「おにぎりの販売はなんとなく始まった」という。3代目の飯塚隆夫氏は「以前は近くに銭湯があったので牛乳やパンなどを売っていたんです。そのときパンと一緒におにぎりも業者から届いて、“おにぎりも商品になるのか!”と思って始めました。うちは祖父の代から続くお米屋なので(笑)。それが36~37年前のことかな」と話す。まだコンビニがほとんどない時代、おにぎりが商品になることに衝撃を受けたことがきっかけだったそうだ。

 おにぎりに使用している米は、同店でブレンドしたオリジナル米の「おにぎりくん」と、新潟県産の「無農薬コシヒカリ」の2つがメイン。おにぎりくんは、甘味のある「コシヒカリ」、お米の粒がしっかりしている「あきたこまち」、粘りが強い「夢ごこち」の3種類をブレンド。「もちろん普通に食べてもおいしいですが、おにぎりは冷めてから食べる機会が多いので、冷めてもおいしいようにブレンドしている」(同氏)とのこと。また、季節によって少し配合を変えている」(同氏)とも。米店ならではこだわり、細やかな配慮が心憎い。

 一方の無農薬コシヒカリは、新潟県の農家から直接仕入れているという。これは隆夫氏の父親である2代目・飯塚豊司氏の故郷が新潟であることに由来する。「地元だから、新潟でもどこの農家の米がおいしいか分かっている」と豊司氏。老舗米屋が言うからには本当においしい米なのだろう。その言葉には説得力がある。

お米マイスターの資格を持つ隆夫氏が厳選した米を取り扱う。おにぎりに使用しているオリジナルブレンド米「おにぎりくん」(1000円/2kg)、「無農薬コシヒカリ」(1720円/2kg)も販売。精米したてを提供するため店頭に並べる数は少ない。※価格はすべて税込み
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同店では弱い圧力で2回繰り返して精米するという。「1回で精米するとお米が熱をもってしまって味が落ちるんです」(隆夫氏)。精米機のない米店が増えている中、お米に対するこだわりが感じられる
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