オトナの体へと成長する女の子にとって、「初めてのブラ」はいつが適切なのか。かつては「中学生になったら」が1つの目安だった。ところが今は、小学5年生(12歳)の3割、6年生(13歳)の6割がブラを着けている(ワコール調べ、2000年)。初経を迎える時期の早まりとあわせてバストの発育も早まり、小学生がブラを着けるのもさほど珍しくはなくなった。

 とはいえ、思春期を迎える娘に対してなすべき母親のケアは遅れ気味で、「胸がふくらみ始めているのに半数以上はブラジャーを着けていない」のが現状だという。ブラを着け始める「導入世代」への取り組みを強化し、「10歳からのブラ提案」に力を入れる婦人用下着メーカー最大手のワコールに「子どものブラ事情」を聞いた。

娘がブラを“いつ”着け始めるべきか、母親には分かりにくい

ワコール 総合企画室 広報・宣伝部 東京広報・宣伝課の福岡智亜紀さん
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 「親御さんにとって、自分の娘の胸がふくらみ始める時期はぼんやりとして“いつ”とはなかなか分かりにくい。気づくと生理(初経)が先に来て、『あ、じゃあブラジャーもそろそろ必要かもしれない』と考えるお母さんが多いようです。なかには運動会で走る姿を目にしたよそのお母さんが、『あら、あのお子さんはあんなに胸が揺れちゃって…、早くケアしてあげないと…』と担任の先生を介して助言するなど、他人から気づかされる場合もあると聞きます。教育現場でそんなことも起きるほど、毎日一緒にいる家族は変化に気づきにくい。わが子に関しては疎いうえ、お母さん自身も恥ずかしくて、娘にブラジャーを着けようと話すタイミングがつかめない」。母親が娘のバストの発育ときちんと向き合えていない現状を、広報担当の福岡智亜紀さんは指摘する。

 ワコールでは小学4年から中学2年までの女子生徒とその保護者を対象に、CSR活動の一環として「ツボミスクール」と呼ぶ「下着教室」を2001年から年間約300~500回開催している。社員が講師となり、成長期の体形変化や正しいブラジャーの選び方・着け方を教える出張授業だ。関東・関西地方の公・私立学校を中心に、現在までに約8万人が受講。少子化、人口減で市場が縮小するなか、ブラを着け始める「導入世代」に向け、他の婦人下着メーカーに先んじて活動に着手したのがワコールだ。

 「胸のふくらみ始めは乳頭にコリコリしたものができて周辺がかゆくなったり、ボールや自分のひじがポンと当たっただけでも痛い。これって病気なの?と、親にも相談できずに悩むお子さんもいます。成長の早い女の子は、自分だけ胸が大きいのが恥ずかしくてみんなの前に出たくないといったネガティブな気持ちになりがちですが、体に起こる変化を安心して受け止めてもらいたい。成長の段階に合ったブラジャーの必要性については、むしろ保護者の方に、早い段階で正しい情報を提供するのが目的」(福岡さん)。授業で商品の販売はせず、「成長期のバストとブラジャーに関する知識を高める啓発」を最も重視するという。