人生を楽しくするのはハレの日だけではない

 以前のコラムで紹介したチャートは、その中間地点の成果物でした。彼らは前回のチャートの中で、その顧客がたった一人しかいないのであれば、それは「40歳になった『となりのトトロ』のサツキ」という定義をしていました。

 この定義から、彼らは大人になったサツキを顧客に持つ自分たちの事業の性格を「情熱的・愛情に溢れている・ユーモラス・好奇心旺盛」とし、野菜を通して日々の生活に埋め込まれた美しさやそこから紡ぎだされる小さな感動を届けることを「スローな瞬間(を届ける)」という言葉に結実させました。

 ここから、彼らと顧客の関係性を決定づける重要な価値として「おすそわけ」というキーワードが浮上します。すなわち、農業は彼らの生き方の一部であり、顧客が野菜を買うことはそれ共有することだ、というわけです。

 ここまでの思考の結果、彼らの事業のブランド価値がさらに整理されていることにお気付きでしょうか。

コアバリュー:「スローな瞬間」
後ろ盾となる思想:「天地有機」
パーソナリティー:「情熱的・愛情に溢れている・ユーモラス・好奇心旺盛」
事業のコンセプト:「おすそわけ」

 これらの結論に行き着いたのち、彼らはこれらを体現するネーミングは何かということを考えました。いくつかのキーワードを抽出したなかで、彼らの思いがきちんとのっかっているものとして「けのひ」が浮上しました。

 けのひは「ハレの日」に対する「ケの日」。人生を楽しくするのはハレの日だけではなく、残りの日々をどう生きるかが大切。その何気ない日常に彩りを届け、応援していきたい――。彼らの思いが結晶化しているような言葉でした。「野菜を売るだけではなく、スローな瞬間を届けたい」という彼らの志が結実している言葉でもありました。そして、彼らは「けのひさん」と呼ばれることを目指し、自らの事業の名前を「有機農園 けのひ」と決定しました。

有機農園 けのひの宅配セット
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取った直後から味が落ちていく枝豆は鮮度が命だという
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