合羽橋の老舗料理道具店「飯田屋」の6代目、飯田結太氏がイマドキの料理道具を徹底比較する連載、第9回は「鉄フライパン・グランプリ」。料理道具の基本であり、長い間愛用できる、鉄製のフライパン。種類が多くて選ぶのが難しいこの“鉄パン”で薄焼き卵に挑戦! 同じ条件で作ったのにこんなに違うの? と驚きの結果になった!

鉄製フライパンの選び方

 こんにちは! 台所番長こと、飯田結太です。以前、「合羽橋のプロが教える後悔しないフライパン選び」! フッ素加工に強火はNG!?」でも紹介しましたが、フライパンは、素材も大きさもさまざまでバリエーションがありすぎて、選ぶのが難しい料理道具のひとつなんです。そこで今回は、料理を始めるときにまず持ちたい、一生ものの鉄製のフライパンを徹底比較してみました。名づけて“鉄パン・グランプリ”!!

今回は7種類のフライパンで薄焼き卵に挑戦! 合羽橋、料理道具専門店「飯田屋」の6代目、飯田結太氏
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 グランプリのテーマは「薄焼き卵」。厚焼き卵は専用のものがあるけれど、薄焼き卵はフライパンに溶き卵を流し込んで作りますよね。でも、これがなかなかうまくいかない。こびりついてしまったり、すぐにこげてしまったり、反対に回りが焦げて中心が半生状態だったり…。

 ならばと、薄焼き卵に適したフライパンを見つけることにしました!7種類の鉄製フライパンで同じ条件で調理を開始。見事なまでの完璧な薄焼き卵から焦げ付いてしまったものまでさまざまな薄焼き卵ができました。

 でもその前に、フライパンの基本をおさらいしましょう。

 フライパンは、アルミニウム、鉄、ステンレス、セラミック、チタン、銅などの素材から作られています。この中で プロの料理人が愛用しているのは圧倒的に鉄製。鉄は頑丈で保温性、蓄熱性が高く、長持ちします。しかし、鉄製といってもメーカーによってさまざま。厚みや加工方法によっても、得意とする料理と苦手な料理が出てきます。

厚みの違い
 鉄の厚さによって食材への熱の伝わり方が変わります。板厚が薄いほうが、あたたまるのは早いですが、火が当たる中心に熱が集中しやすくなります。反対に厚みがあるとあたたまるのが遅い分、全体にじんわりと熱が伝わっていくんです。ということは、焼き加減、炒め加減が変わってくるということ。

鉄の加工方法の違い
 フライパンの表面を見ると、つるっとしているものと、ざらざらしているものがあります。つるっとしているものは主に手打ちして仕上げたもの。“鉄を熱してから打つ”ということを繰り返して仕上げていく製法です。一方ざらっとしているものの代表として、鋳鉄(ちゅうてつ)があります。鋳型に溶けた鉄系金属を流し込む製法で作られたもので、南部鉄器が有名ですね。手打ちと鋳鉄の違いは、熱を蓄える力と強度。一般的に厚い鋳鉄のほうが熱を蓄える力が大きくなりますが、厚さが同じなら強度は手打ちのほうが上です。

鉄フライパンを使う前にすること
 鉄フライパンを購入したらまず焼き入れをします。フライパンの表面の色が青い玉虫色に変わるまで空焼きをしましょう。このとき、フライパン全体をまんべんなく焼いていくことが重要。特に持ち手の付け根部分も忘れずに。しっかり焼き入れすることで、付け根部分の腐食を防ぐことができます。

一枚の鉄から打ち出して作っているフライパンなら付け根部分はないので腐食しにくいが、持ち手が付けられているフライパンはここから腐食しやすくなるのでしっかり焼き入れしよう
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 食材を焼くと考えると、板が厚くて、熱を蓄える力が大きい鋳鉄のほうがおいしく仕上がるということになります。今回のテーマ、薄焼き卵をおいしく仕上げるためには、もうひとつ、「熱ムラ」が起きにくいかどうかも大きなポイント。これは厚みが均一かどうかによって変わってきます。ではさっそく、グランプリ開催!!