「ムーアの法則」という言葉を聞いたことがあるだろうか。“CPUの巨人”インテル社の創業者のひとり、ゴードン・ムーア(1929~)が提唱した、半導体技術の進歩に関する経験則のことだ。「集積回路上のトランジスタの数は18カ月から24カ月ごとに2倍になる」というものである。

 この法則の核心は「1の次は2で、その次は3」ではなく「1の次は2だが、その次は4、さらにその次は8」というところにある。一定期間ごとに2倍というスピードで、回路に組み込まれるトランジスタの数、つまり集積回路(IC)の性能は向上していくというのだ。数学の言葉を使うと「指数関数的増加」である。

 ムーアがこの法則を提唱したのは1965年。以来半世紀もの間、ICの性能はこの法則にほぼ従う形で向上してきた。ICは、より小さなトランジスタをシリコン基板(シリコンウエハー)上に作り込み、高密度の電子回路を形成し、より大量の情報を短時間で処理できるように進化してきたのだ。

 ムーアの法則はトランジスタの数について述べたものだが、その指標となるのが、シリコンウエハーの上に作る配線の幅(プロセスルール)だ。世界初のCPUであるインテルの「4004」(1971年)では、このプロセスルールが10μmだった。ミリメートルでいえば、1/100mmである。それが現在最新のCPUである「Core M」では、14nmにまで狭くなっている。ミリで表せば、14/100万mmということになる。

 4004からCore Mに進化する間に、IC上の配線の幅はおおよそ1/700になったわけだ。配線の幅が狭くなるとそれだけたくさんのトランジスタを作り込むことができて、この間の進化をトランジスタの密度で考えると、ほぼ50万倍になる。つまり40数年間で、半導体の性能は50万倍にもなったということである。もちろん作り込む回路の工夫や情報を処理する手法の進歩で、CPUとしての情報を処理する性能はもっと上がっている。

 目がくらむような急速な進化だが、では、このムーアの法則、いったいいつまで続くのだろうか。