(1)相手に関する意外な事実の発見

「知っているだけのただの人」が「少し気になる人」となるための最初の必要条件が、この情報・経験です。自分の回りの人を恋愛対象(候補)とそれ以外に線引きしたときに、それ以外から脱却するために必要な第一歩であるともいえます。

 これは具体的にはどういうことでしょうか。

 非常に陳腐な例ですが、「普段は感じの悪い男子クラスメートが小さな動物に優しくしているのを見て胸がときめく」というとイメージしやすいでしょうか。また、堅物な印象の男性が仕事の場面を離れるとユーモラスだったりとか、何でもうまくこなせそうな二枚目が実は手先が不器用だったり、といったこともこれにあたります。

 ここに挙げた例を整理すると、

通常の印象新しく発見した事実
感じが悪い優しさ
堅物ユーモラス
二枚目不器用

 というように、「通常の印象」と「それとは対照的な一面の発見」の組み合わせというのがポイントになっています。ここで重要なのは、通常の印象と対照的な一面のそれぞれ単体では機能しないということです。

 これを実際の恋愛に応用すると、どういうことになるでしょうか。

 人は普段の自分の言動を無意識に行っています。一方で恋愛しているときや、恋愛手前の状態で意中の人物の前にいるときの言動は、それと逆にかなり意識的なものになるのではないでしょうか。しかし重要なのは、意識して行っている言動が“普段の印象に比べてどの程度意外性があるか”です。 この要件を満たすためには、自分が他者から普段どう認識されているかを理解することが重要になります。意中の人の気を引こうとして行う言動の意味や効果は、それ自体よりも実は“普段の自分の言動とのギャップの大きさ”から生まれるものなのです。

 「ただの人」と「ちょっと気になる人」の間に引かれる線をまたぐには、その場の言動や行動で受けを狙うだけでは不十分で、「普段の自分のキャラクターとの差異をいかに作るか」という視点が必要だということです。

(2)共通点の連鎖

 これは、厳密には先に指摘した「相手に関する意外な事実」の一部です。しかし非常に重要な要素なので、一段格上げして扱いたいと思います。

 人間は社会的な動物なので、自分の回りにいる人を無意識のうちに敵か味方かに二分する傾向があります。そして、自分と似ているものを味方、自分と対照的なものを敵とする考え方で二分します。そうなると、相手に関する意外な事実に、「自分との共通点があるかどうか」は非常に重要な意味を持ちます。

 先に述べたように、「ただの人」から「ちょっと気になる人」になるとひと口にいっても、これには好意的に気になるケースと非好意的に気になるケースがありえます。そして、意外性と似ているポイントを同時に提示することにより、好意的に気になる可能性を強力にドライブしてくれるのです。

 ここで、「共通点」とは何を指すか。出身地や居住沿線、趣味、好きな洋服のブランド、好きなクルマ、好きな食べ物、好きな映画、好きな小説などなど考えればいくらでも出てきます。これを実際の恋愛に利用すると、どうなるでしょうか。

 上に記したように、意中の相手と自分が共通しているか、それとも相違しているかということを比べる観点は、それこそ無限に存在します。そのなかには相手から見て意外なものとそうでないものがあります。さらに別の尺度として、その共通点が相手にとって重要なことかどうか、という点も存在します。

 この2つをマトリクスにしたときに、「相手にとって意外×相手にとって重要」という象限にプロットされる共通点を、無限にある観点の中から前もって探しておきましょう。その準備によってあなたの位置づけが相手にとって「ただの人」から「好意的に気になる人」に変化する確率は高まります。