こんにちは、西友の富永です。

 先日、日本ママ起業家大学(子供のいる女性の起業を支援しているユニークな団体です)が主催するセミナーで、マーケティングをお仕事としているわけではない女性企業家を対象に、マーケティングの話をしてきました。

 そのセッションは「そもそもマーケティングとは何か」という質問からスタートしました。この質問に対する私の回答はこのコラムの読者の方なら分かると思いますが、

(1)誰かに届けたいものを造ること
(2)造ったものやサービスを届けたい誰かに気づいてもらい、使ってもらい、愛してもらうようにするための、全ての働きかけ

 となります。こちらの働きかけに対して相手がどのような反応を示すのか、つまり人間の心理や行動に関する理解が非常に重要になるわけです。

 この考え方は論理的にはスジが通っていますがあまりに壮大なので、普段の仕事にどのように生かせばよいのかイメージしづらい人も多いでしょう。

 そこで、マーケティングを身近な恋愛に置き換え、普段の仕事に取り込んでいけるように工夫してみました。その内容をここで紹介したいと思います。

 まず、ここで「思考実験」を行いましょう。

 マーケティングの古典的で有名なフレームワークで「AIDMA」というものがあります。これは、消費者が何かを買うときの心的作用や行動をプロセス化したもので、「Attention (気づく)」「 Interest (興味を持つ)」「 Desire(欲しいと思う)」「 Memory(心の中の買いたいものリストに加える)」「Action(実際に購入する)」という5つの英単語の頭文字をとったものです。

 ちなみにAIDMAは現在のメディアやコミュニケーションの進化にともない、

・AISAS=Attention, Interest, Search (ウェブで検索すること), Action, Share (ソーシャルメディアやウェブ上でシェアすること)
・ARASL=Attention, Reach (お客様が販売チャネルに出向いてくれるように仕向けること), Action, Share, Loyal (お客様と強い絆を形成すること)


 などの改訂版が提唱されています。ですが、ここでは一つの購買行動と恋愛の類似性を考察したいので、あえてこのAIDMAを使って意中の相手にアプローチするにはどうすればいいかを考えてみましょう。

【Attention】相手に「働きかけている」と気付いてもらう

 例えば、

・必ずなんらかの返信を促すような質問・問い掛けをメールに仕込んでおく
・そこから発生したやりとりをベースに、趣味や個人的な嗜好にかかわるやりとりを展開する
・コミュニケーションに意外性を持たせる。例えば、普通は選ばないようなお店に誘ったり、普段自分が使わない言葉で働きかけたりする


 というようなことが該当するのではないかと思います。

 人間は、さまざまなモノやコト、それから人に対しても、自分の視点からレッテルを張り、自分との関係性の基軸にしていく傾向があります。これを「アンカリング=Anchoring」といいます。怒りっぽいと思っていたAさんが優しい素振りをすると、「何か事情があるに違いない」と感じるのは、“Aさん=怒りっぽい”というアンカリングがあなたの中にあるからです。

 上に述べた一連のプロセスは、まさにこのアンカリングにまつわる話です。すなわち、意中の人があなたに対してどのようなアンカリングを持っているかをコミュニケーションを通じて確認し、その内容とギャップを持たせた働きかけをすると、意中の人にとってはそれがあなたの意外な一面と感じます。そのポイントを強調した働きかけをすると、彼女または彼はあなたからどんどん気づきを得ていく、という次第。