狙いは“ギャップ萌え”!?

 物語コーポレーションの加治幸夫社長によると、赤坂に新業態店を出店することに決めたのは、郊外型の従来店舗の成功パターンができ、競合店の少なさから社員に危機感が失われかけていることを危惧したためだという。「売り上げトップを目指すからには、もっとストイックにサービスや品質を磨かなければならない。そのための鞭を入れる気持ちで」(加治社長)、都心の最も競合の激しい赤坂を選び、新業態を出店したという。

 ファミリー客が大部分を占める郊外型店舗では、食べ放題が大きな魅力になる。しかし、繁華街型の店では食べ放題よりも、同僚や友人とのコミュニケーションを深めるための「飲み放題」に注力したほうが喜ばれるのでは、と考えた。焼き肉とワインを売りにした店は多いが、リーズナブルなところはあまりなかった。そこで「価格破壊的な要素も入れたい」と考え、「飲み放題でワイン980円」というシステムを採用。ワインセラーを通って入店する構造も、このシステムへの誘導のためということか。

 一方、今までの資産として生きたのが仕入れだという。全国に140店の焼き肉店を運営しているというスケールメリットによって、良い肉を安く仕入れることができた。「この品質でこの厚みの熟成カルビ肉を780円で提供できるのは、焼肉きんぐのバックボーンがあるから」(同)という。店内のインテリアと比較してスタッフのサービスがカジュアルであることも、同社で運営している和食店でのノウハウを生かしているという。「フードの品質は高いがサービスはカジュアル、割烹と居酒屋の中間のような業態が酒の進む店として、成功している。そのスタイルを取り入れた」(同)。

 ベタな焼き肉店風の看板に、スタイリッシュな空間。スタイリッシュな空間に対して、カジュアルなサービス。焼き肉は高品質だが、肩肘張らず、カジュアルなにぎわいとリラックス感がある。こうした“ギャップ”で話題をつくり、集客力を高める戦略なのだろう、とやっと狙いが見えた。

同社ではこの一号店を成功させたあと、マーケットの大きな都心や全国主要都市に50~60店舗ほどを展開したいと考えている。

物語コーポレーションの加治幸夫社長。「感度の高い人がインフルエンサーとなり、情報を広めてくれるはず」という
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