飛行機を見ると、主翼や尾翼の一部やエンジンなど動くパーツがたくさん付いているのが分かる。飛行機が離陸し、方向や高度を変え、目的地に着陸するときには、こうしたパーツを動かして操縦しているわけだ。

 今回は飛行機の“動くパーツ”の役目や動かし方を、日本航空で777型機の機長を務める船越篤氏に教わった。飛行時間1.7万時間以上のベテランパイロットだ。

訪れたのは羽田にあるJALのメンテナンスセンター。高さ40メートル近くあるという大きい整備場の中にある、ボーイング777-200型機を見学できた。現在のJALの主力機で、取材した機体は国内線で使われているものだった
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揚力をコントロールするスラットとフラップ

 飛行機にはさまざまな翼があり、そこには舵の役目を果たす動翼がついている。

オーソドックスな形状のジェット旅客機の例。主翼、水平尾翼、垂直尾翼があり、それぞれに動かして操縦に使う動翼がついている
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 主翼の前側(前縁)についているのが「スラット」で、主翼の後ろ側(後縁)についているのが「フラップ」だ。このスラットとフラップは連動して動く。

 なぜこの部分を動かすのかというと、飛行機は翼に揚力(ようりょく)が発生しないと飛べないから。揚力は速度、翼の面積、翼の形状によって大きく変わる。離陸時・着陸時は速度が遅く、この揚力を得にくくなる。そこで主翼の前後にあるスラットやフラップを動かし、翼面積を大きくしたり翼の形状を変化させたりして必要な揚力を確保しているのだ。

 フラップなどを動かすコントローラーは、コックピット内の座席の横、クルマならシフトレバーがある位置にある。ここで、0~30度までの7段階で動かす。5度の位置まではスラットだけが少し動き、15度からはフラップも同時に動く。ボーイング社などではこのように呼んでいるが、エアバス社ではどちらもまとめてフラップと呼ぶという。メーカーによって呼び方が違うことがあるそうだ。

機長席の右側にある大きな白いレバーで動翼を動かす。フラップやスラストリバーサー(逆噴射)、スポイラー(スピードブレーキ)などをコントロールするレバーがまとめられている
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右からフラップレバー、エンジンの出力を制御するスロットルレバー、その奥に見えるのはエンジンの逆噴射を制御するスラストリバーサーのレバーがある。左側には左右の動きを自動で調整するトリムレバー、上下の動きを調整するピッチレバー、奥に見えるのがスポイラーを動かすスピードブレーキレバー
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スラットとフラップを動かし始めたばかりの状態。翼の前縁部分が少しずつ垂れ下がっていくように動く
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スラットがせり出した状態。翼の後ろ縁にあるフラップはまだ動いていない
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スラットの角度が大きくなってくると、フラップも連動して動き始める
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スラットとフラップがどちらもほぼ最大限開いたところ
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主翼には大きい膨らみがいくつもついている。これはフラップなどを動かすメカニズムが中に入っているため
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レバーの奥に見えるモニターにはそれぞれの動翼の動きを表示することもできる。しかし普段の飛行では見るまでもないのでほとんど見ないとのこと
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