“グルテンフリーダイエットで減量成功”は本当?

 人気のグルテンフリーダイエットですが、セリアック病やグルテン過敏症以外で、減量の効果を支持する報告はありません。

 ただし、セリアック病の方に関しては、グルテンフリーダイエットの効果として体重変化が挙げられた研究が多数あるのは事実です。とはいえグルテンフリーダイエットは、必ずしも低エネルギーという意味ではなく、またグルテンフリーの小麦粉やパスタなど、さまざまな除去食品はあるものの、そうしたグルテンフリー食品の中には、グルテン含有の同様の製品より高カロリーなものもあるのです。

 さらに、グルテンフリーのダイエット食品の中には、全粒穀物より繊維が少ないものもあり、全粒穀物を摂取するよりかえって太る原因になりかねないと懸念されています。

小麦は胃腸の健康に良い

 グルテンフリーダイエットや低炭水化物ダイエットの流行で“小麦製品=太る”ようなイメージを持つ方もいるようですが、本当にそうなのでしょうか?

 実際、小麦は米国で最もよく消費される穀物で、典型的な食事中のフラクトオリゴ糖、イヌリンの約70%~78%を占めています。

 フラクトオリゴ糖は、ショ糖に1~3個の果糖が結合した難消化性のオリゴ糖です。にんにく、アスパラガス、ねぎ、玉ねぎ、ごぼう、大豆などに多く含まれており、低エネルギーの甘味料にも使われています。フラクトオリゴ糖は腸内の善玉菌を増やして活性化させ、腸内環境を酸性に維持します。また免疫機能の強化、高脂血症の改善、便秘の改善、血糖値の抑制などの作用があるとされています。

 イヌリンは、自然界においてさまざまな植物によって作られる多糖類の一群で、果糖の重合体(ポリマー)。栄養学的には、水溶性食物繊維の一種です。砂糖やほかの炭水化物に比較すると3分の1から4分の1程度のエネルギーしか含まず、脂肪と比べると6分の1から9分の1程度という、低エネルギー成分です。カルシウムの吸収を促進したり、腸内細菌の活動を増進させたりします。食事と腸内細菌の相互作用は大腸の健康に重要で、特定のがんや炎症状態、心血管疾患を予防するともいわれますから、大きなメリットといえます。

 つまり、グルテンの含まれている小麦などの穀物には、グルテンそのものの健康への長所だけではなく、フラクトオリゴ糖やイヌリンなどによる利点もあるのです。

グルテンフリーダイエットが健康い悪影響をおよぼす!?

 炭水化物は、消化されて約4kcal/gのエネルギーを生み出す消化性炭水化物(いわゆる糖質)と、消化できずに腸内細菌が醗酵分解して0~2kcal/gのエネルギーを生み出す難消化性炭水化物に分けられます。後者には、食物繊維や糖アルコールが含まれます。

 小麦由来の難消化性炭水化物は、食後の血糖及びインスリンの増加を抑え、空腹時の血中(血清)中性脂肪を減らし、さらに体重を減らすことが報告されています。またフラクトオリゴ糖は、免疫状態、脂質代謝、およびビタミン・ミネラル吸収を改善するとされます。

 ですから厳格なグルテンフリーダイエットは、逆に健康に悪影響をおよぼす可能性があるのです。事実、最近ではグルテンフリーダイエットが有益な腸内細菌を減少させる可能性まで示唆されるようになりました。

Photo:Apolonia
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