グルテンフリーダイエットが必要な疾患その1:セリアック病とは?

 セリアック病は、グルテンによって引き起こされる自己免疫疾患です。

 自己免疫疾患は、免疫システムが誤作動して、身体が自分の組織を攻撃する病気です。本来免疫システムは、何かの物質(例えばウイルスやアレルゲンなど)が身体に入ってきたときに、異物あるいは危険な物質だと認識すると、身体を守るために発動し、物質を排除しようとします。ところが免疫システムが誤作動して自分の細胞や臓器に反応すると、それらを排除するための抗体を作り出して、特定の臓器や部位を攻撃するようになります。すると体内に障害や炎症が起き、全身性の症状が出ることもあるのです。

 セリアック病の場合、グルテン摂取後、小腸の粘膜に炎症が起こり、栄養の吸収が阻害されます。その結果、腹部膨満感、腹痛、下痢や便秘、栄養失調、鉄欠乏性貧血、疲労、骨粗しょう症など、さまざまな症状をきたします。有病率は欧米で約1%と言われ、遺伝的な要因が大きいとされています。

 しかし徹底したグルテンフリーダイエットにより、消化器がんなどの発生率が低くなると報告されており、セリアック病患者にとっては確立された治療法といえるのです。

グルテンフリーダイエットが必要な疾患その2:グルテン過敏症とは?

 グルテン過敏症(あるいは非セリアックグルテン不耐症=nonceliac gluten intolerance)は、グルテンに対し過剰な免疫反応が生じる疾患です。セリアック病とは違い、自己免疫疾患ではありませんが、遺伝的要因に影響されやすいのが特徴です。

 日本では、「PMSや慢性疲労、便秘などの症状がある原因不明の不調はグルテン過敏症が原因かもしれない」などと女性誌などで取り上げられてきているのでご存じの方もいるかもしれません。

 一般的な症状は、ガス、腹部膨満感、下痢などの胃腸障害、疲労や頭痛などさまざまで(多くはセリアック病に類似)、ほとんどがグルテンフリーダイエットで改善します。

グルテンフリーダイエットが必要な疾患その3:小麦アレルギーとは?

 小麦アレルギーはグルテンに限定されず、小麦そのものにアレルギー反応を示すものです。有病率は、欧米諸国で約0.1%と推定されています。

 日本では化粧品に含まれていたことが原因で経皮感作による小麦アレルギーを発症した例が多発したことがありました。症状としては、じんましんや発疹、腫れなど皮膚に出てくるものと、皮膚だけでなく呼吸困難など全身の臓器に症状が出るアナフィラキシー(重いアレルギー反応)があります。

 小麦アレルギーと診断された場合、小麦の摂取を避けます。

自閉症スペクトラムには有効?

 グルテンフリーダイエットはまた、自閉症スペクトラム(autism spectrum disorders、ASD:広汎性発達障害を、重い自閉症からアスペルガー症候群まで、連続的にとらえた概念)の方々が、症状改善目的で利用しているとも言われます。

 ところが、現在までのところ、ASDに対するグルテンフリーダイエットの有効性を支持する決定的なデータはなく、米国小児科学会は、ASDの一次治療としてグルテンフリーダイエットを支持していません。

 その他、グルテンフリーダイエットで全身性エリテマトーデスや疱疹(ほうしん)状皮膚炎、過敏性腸症候群、関節リウマチ、1型糖尿病、甲状腺炎、および乾癬(かんせん)による全身や胃腸の症状が改善する可能性が報告されています。

Photo:artur84
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