「粋肌着」の商品。長袖丸首シャツ、長袖Vネックシャツ、ズボンなどがある。いずれもM、Lサイズ2160円(税込み)(画像クリックで拡大)

 大量生産された格安肌着が主流を占める中、創業76年の老舗インナーメーカー、アズ(大阪府箕面市)の防寒肌着ブランド「粋肌着(いきはだぎ)」シリーズが売れている。日本の熟練職人の技を生かした独特の風合いや着心地、上質な暖かさが特徴で、2012年のブランド立ち上げから3年で売り上げは10万枚を突破。2014年秋冬では前年同期比約143%増と、本物志向の消費者の間で人気が広がっているという。

 「1990年には45.9%のシェアだった日本製肌着は、この20年弱で6.3%にまで落ちた。しかし日本が誇る工場や職人の技術の“粋(すい)” を集めた自社ブランドで、日本製肌着の良さへの理解を深め、ものづくりの課題を解決したい」という同社担当者の言葉にたがわず、同ブランドでは糸や綿の開発、生産など国産にこだわった。さらに効率や生産性よりも、昔ながらの編み機を使い、熟練職人にしか出せない風合いを追求。発熱性や保温性、防寒性など機能面にもこだわっている。

 例えば製品の1つ「暖かさね」は、バルキー(ふくらみ)繊維混紡のエアストック原糸を東洋紡と共同開発。その糸を使い、大正時代のアンティークな編み機と、熟練職人の“空気を編み込む”ような編み方で、一般的な薄手の発熱系インナーに比べ3倍の保温性を実現した。重量も、同等の保温性のインナーに比較しても約35%軽いという。。

 またもう1つの製品「熱あわせ」は、東洋紡が開発した発熱繊維「エクスハイパー」を採用。レーヨンの3倍以上の発熱性を維持しつつ、よく伸び、やわらかく戻るといった着心地の良さを両立させている。どちらも岡山で綿を生産、和歌山県の工場で編み方、三重で染色、九州にあるアズ自社工場で裁断と裁縫仕上げを行っている。

 海外生産品よりはるかにコストがかかる生産体制ながら、価格はM、Lサイズともに2160円(税込み)に抑えた。今シーズンもリピーターを含め、こだわりのある層から根強く支持されているろいう。

(文/立藤慶子)

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