いよいよ、しょうが焼きの名店を一挙公開!

編: では、ダメじゃない、おいしいしょうが焼きが食べられる店はどこですか?

 あ、その質問は来ると思って、メモしてきました。えっと、バラ肉の部からいきましょうか。

編: おー、肉の種類ごとに名店があるんですね。なんだ、ちゃんと研究してるじゃないですか。

 バラ肉では、「味のほうさく」という横浜弘明寺のラーメン屋さん、それから居酒屋の「築地たぬきや本店」さん、門前仲町の「キッチンまつむら」さんあたり。吉祥寺の「カヤシマ」という居酒屋もいいですね。タレが一滴残らず肉に絡んで、べっ甲のように艶々している。バラ肉はご飯が進みますから良いですよね。男子の本懐です。

 続いてロースの部。銀座ナインの地下にある「れすとらん はと屋」なんかは、コの字のカウンターのなかにコックさんが3人もいて、ロース肉を教科書どおりにきちんと焼いてくれる。新川の「津々井」さんも、「にっぽんの洋食」のキャッチフレーズに負けない醤油際立つロースのしょうが焼きを食べられます。

 一方、肩ロースだと、神保町の「ボーイズカレー」。15秒くらいで出てくるのに、うまい。この店も本業はカレースタンドですけど、メインのメニューと関係ないしょうが焼きが、変においしい店ってけっこうあるんですよ。ほかに肩ロースで思い出深いのは、「民宿 うらしまや」という箱根の民宿の夕食に出てくるメインメニューなんですけどね。これがタレが一滴も垂れずに肉をコーティングしている。そんなものすごい上物のしょうが焼きなのに、お母さんが出すときに言うんですよ。「こんな料理しかなくてごめんなさい」って。私、その民宿は2回泊まりましたけど、2回ともしょうが焼きが出てきて、2回とも同じセリフを言われました。

編: 味付けも店によって千差万別ですよね。

 しょうが焼きなのにニンニク風味が強いニンニク系というジャンルがありますね。例えば芝の「とんかつ三太」。とんかつ屋なんですけど、ランチタイムに行くと、9割の客がしょうが焼きを食べている。いい肉をちゃんと粉をふって焼き、タレはニンニク、ショウガ、そして醤油のみ。自分でもマネして家で作ってみたんですが、いい肉を使えば、ニンニクがいい隠し味になってこれで十分なんですよ。「とん金」というとんかつ屋さんにも、たっぷりのニンニクとショウガで口のなかが痛くなる「ポリネシアン」というニンニク系しょうが焼きのメニューがあります。

とん金 (西五反田)

東京都品川区西五反田7-5-4 長塚ビル1F
「日本で一番しょうがを使うとんかつ店」との異名を持つ。これでもかというほどしょうがとニンニクを投入するしょうが焼き「ポリネシアン」は、しょうが焼き界の重鎮ジンジャーさんをして、「日本でもっとも刺激的なしょうが焼き」とうならせる一品。

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編: ずいぶん出ましたが、ジンジャーさんがナンバーワンのしょうが焼きと認定するのはどこでしょう。

 味で言うと、湯島の「さくらい」という洋食屋さんの黒豚のしょうが焼きですね。蜂蜜が隠し味になって、噛むほどにうまさが広がる絶品です。ただ、これってもはや立派な一品料理で、しかも1500円ですからね。しょうが焼きの本分を忘れて、ハレの世界に行っちゃってる。やっぱりランチ750円でコーヒー付き、タバコ吸い放題、しかもおいしいというのが、しょうが焼きの醍醐味じゃないですかね。

編: では最後に、しょうが焼き界に、最近何か変化があったらおしえてください。 例えばブームの予兆とか。

 いろんな店にあるメニューのようでいて、一等地のファッションビルで、コスト計算したり、マーケティング調査したりしないとやっていけないような飲食店では、間違ってもメニューにラインアップされない。一方、小さくても自分の土地を使って、どんぶり勘定でもやっていけるような店ならたいていしょうが焼きを見かけます。再開発されてビルの中の店になって帰ってくると、しょうが焼きがなくなってるなんてこともよくありますね。

 しょうが焼きの世界に変化があるとすれば……まず、適当に作っている店が多いので、行くたびに味が違うという変化でしょうか? それから時代とともに、しょうが焼きを出す愛らしい店が減っていくという、さみしい変化も確実にある気がしています。

「このスジの達人が伝授する、いいしょうが焼き店の見分け方」


豚肉の専門家であるとんかつ屋さんのしょうが焼きは、さすがにはずれがないですね。あと自分の土地に立てた小さな店舗で、それも平屋なら、なおおいしいしょうが焼きに出会えそう。一方、しょうが焼きの素材にブランド豚を使って、それを前面に押し出しているような店のしょうが焼きは、けっこうなんてことない確率が高いかも。

(構成/福光恵)

ジンジャー
氏名 ナポリタンブロガーイートナポの運転手(!?)を務め、一緒に東京各地の飲食店を巡っていたところ、しょうが焼きばかり注文している自分を発見! つい魔がさして2007年よりしょうが焼き専門ブログを立ち上げたところ、余りのニッチ加減にあきれた世間より注目を受け、各種媒体にも取り上げられ調子に乗る中、気が付けば7年越しに2000食強。 前人未到且つ追随者ゼロの孤高の領域で今日もしょうが焼きを求めてさまよい歩く。
公式ブログ:http://www.shogayaki.com