かくも奥深き、しょうが焼きの歴史

編: しょうが焼きは、洋食屋さんにも、トンカツ屋さんにも、定食屋さんにも、それから喫茶店にも、何気ない顔でメニューに載ってますよね。そもそもルーツって何でしたっけ?

 店のメニューになったのは1950年代に入ってから。銀座の「銭形」という料理店が醤油に絡めた豚肉を出したのが、世に広まった始まりといわれていますね。ただし、その後もしばらくはしょうが焼きといえば家で食べるものだったのが、家でだんだんご飯を作らなくなって、外食産業がそこに付け込んで、喫茶店やら、洋食店やらのメニューに加えられていったんだと思います。まあ、最近でいう卵かけご飯が外食化したことに似ているのかな。そもそもあれも家で食べるもので、店で食べるようになるとは夢にも思ってなかったじゃないですか。「しょうが焼き特集」みたいな体裁で、情報誌にも取り上げられるようになったのも、まだここ5~6年のこと。まあ、そんな地味なメニューですから、トレンドとか、ブームどころの話じゃないです。

編: えー。しょうが焼きのファンは多いんですから、そんな弱気じゃだめじゃないですか。まずしょうが焼きの定義ってあるんですか?

 まあ、そのまんまですけど、あるとしたらショウガ醤油で味付けした焼肉ってことでしょうかね。今の東京での捉えられ方は、焼肉定食っていえば牛肉でニンニク味。牛肉じゃない豚肉はしょうが焼きになっていますが、まだ焼肉点店というのが普及していない昭和のころは、どっちも「焼肉」だったみたいなんですね。「焼肉定食」って、今じゃ4文字熟語のギャグのほうが有名ですが、関西のほうではいまだに、その焼肉定食を頼むとしょうが焼きが出てくる店もあったりする。

 それからポークジンジャーとの違いはなんだとよく聞かれます。これも実は明確な区別はないようですが、ご飯が茶わんで出てくる店がだいだいしょうが焼き、ご飯が白い皿に平べったく盛られてライスに化けて出てくるお店はポークジンジャーとなっているお店が多いです。容器に左右される程度の立ち位置なんです。

編: しょうが焼きのメニュー書きにはよく「豚のしょうが焼き」とありますよね。ということは豚以外もあるんですか?

 豚肉が中心ですが、しょうが焼きと名乗って牛肉を出す店もけっこうあります。それこそ焼肉のしょうが味バージョンです。そうそう、豚、牛以外のしょうが焼きも全国にはいろいろあって、私も鹿とかクマとかも食べたことあります。そりゃもう、ショウガでは臭みが取りきれません(笑)。