東京メトロ東西線、神楽坂駅前にオープンした「la kagu(ラカグ)」。昭和40年代に建てられ倉庫として使用していた場所
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 2014年10月10日、「アフタヌーンティー」「ロンハーマン」などを展開するサザビーリーグと新潮社が組んで、東京メトロ東西線神楽坂駅前に、“キュレーションストア”として「la kagu(ラカグ)」をオープンさせた。

10月8日のレセプションでは鏡割りが行われた。右からサザビーリーグ取締役会長 鈴木陸三氏、新潮社代表取締役社長 佐藤隆信氏、東京大学教授 隈研吾氏
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 昨今、生活全般に関わるアイテムを扱うライフスタイルストアが台頭している。それらは「セレクト」「キュレーション」の体裁をとっているものも少なくない。さまざまなブランドからそのショップのコンセプトに合うものを少しずつ集めて販売したり、その道の第一人者(=キュレーター)を立て、その人物に売り場の編纂(へんさん)を任せる手法だ。

 昔なら「雑貨ショップ」とひとくくりに呼ばれていた業態だが、そこには雑貨のジャンルを飛び越えた個性あふれる洒落たアイテムが並び、さらにはアパレル、カフェレストランまで併設されている。このような店は以前からもあったが、どんどん進化し、ソフィスティケイトされてきた。そんなライフスタイルストアの発展系として登場したのがラカグだ。

 「長い間、使われていない倉庫を活用する方法を模索していた。神楽坂の駅前に隣接する特性を活かし地域密着にしたいという考えはうっすらあったものの、アイデアが浮かんでは消え、を繰り返し、この業態にたどり着いた」(新潮社代表取締役社長 佐藤隆信氏)。そんな折、新潮社の役員がサザビーリーグの鈴木陸三会長に相談したところ、神楽坂という地に非常に興味とインスピレーションが沸いた鈴木会長との間で協業の話が進んでいったという。

 「神楽坂は古き良き江戸の持つすばらしさと、一方で外国人が好むようなコスモポリタンな一面がある稀有(けう)な場所。この歴史ある地でエネルギーをぶつけて新しい文化と空間を作るのは面白いじゃないか、と。自分たちの得意としているファッション性の高い衣食住まわりのリソースに新潮社の“知”を加え、地域の皆様に愛されるような新しい試みをしていきたい」(鈴木陸三会長)

 そこで、神楽坂在住の建築家である隈研吾氏に設計を依頼したところ快諾。プロジェクトが動き出した。

 「今、世界の都市の流れは“ウォーカブル”になっている。路地や坂があって歩くことが楽しい場所に注目が移っていくだろう。この立地は神楽坂と最近おもしろい飲食店が多い牛込をつなぐピボットヒンジ(丁番のこと。そこを支点に開閉させる機能を持つ金具)のような場所でもある。神楽坂の長所である“表と裏の境目”、つまり観光地でもあり昔からの生活空間でもあるそのボーダーライン感を楽しんでほしい」(東京大学教授 隈研吾氏)

歩道から続く緩やかな階段。ここでは定期的にファーマーズマーケットも行われる。神楽坂界隈で働く人々、住民にとっても新たな憩の場となりそうだ
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