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 国内PCメーカーとしてパソコン市場のシェアを2分するNECパーソナルコンピュータと富士通が、異なる戦略を打ち始めた。

 富士通は、2013年度から、「春」「夏」「秋冬」と呼ばれる年3回にわたって行われてきた全モデルのラインアップ一新による新製品投入をとりやめる一方、女性向けやアクティブシニア向けといったターゲット層を明確化した製品投入を開始している。

 これに対して、NECパーソナルコンピュータは年3回の新製品への一新というサイクルを従来通り継続。さらにライフスタイル別の提案をする製品戦略を加速する。

 なぜ、両社の方針に差ができたのだろうか。

「CPUの進化とHD容量変更だけで新製品とする手法に疑問」

 富士通の齋藤邦彰執行役員常務は、「今後は、春モデル、夏モデル、秋冬モデルという年3回の新製品投入サイクルにはこだわらない」と明言する。

 実際に同社は2013年度、シーズンごとの新製品投入時期に全モデルを一新するという方法を取りやめ、一部製品を継続モデルとして販売している。

 「これまでのように、同じサイクルで、年3回にそれぞれ新製品を出すことが、本当にお客様にとっていいことなのだろうか。また、CPUの進化と、ハードディスクの容量を変えるだけで、新製品とする手法でいいのか。そうしたことを考えると改善の余地が大いにあるという結論に行き着いた」と語る。同時にカラーバリエーション展開も一気に絞り込んでいる。

 この考え方の根底にあるのは、お客様に価値を与えられる「とき」、お客様に価値を与えられる「もの」、お客様に価値を与えられる「こと」という3点をとらえ、そこにフォーカスした製品投入を行うという姿勢だ。

 明確な機能進化や新たな提案ができるものだけを、新製品として投入していくという戦略に大きく舵を切ったといえる。

単にアクティブシニア向けや女性向けの製品を作ったのではない

 この考え方は、利用ユーザーを具体的に絞り込んだ「Floral Kiss」や「GRANNOTE」にも言えることだ。

 「GRANNOTE」は“大人世代向け”、すなわちアクティブシニア向けの製品。そして「Floral Kiss」は女性向けをコンセプトに開発した製品で、第1弾は2012年11月に登場。2014年5月23日に第2弾製品が登場したばかりだ。

 「Floral Kissの第2弾製品が登場するまでに時間を要したのは、女性にとって世界一のPCを作ることができるかどうかという点で、検証に時間をかけたため」と同社では説明する。発売から半年間は購入者を徹底的に検証。それをもとに商品企画を開始した。

 齋藤執行役員常務は「Floral KissもGRANNOTEも、単に女性向け、アクティブシニア向けという製品を作ったのではない。ターゲットとしたユーザーがそれを使うことで、心地よいとか、気分がアガるとか、あるいは長時間使っていても疲れないなど、利用者の気持ちや使い心地にも訴えるものでなくてはならない。これからは明確な強みを発揮できる製品を投入することが、求められる」とする。

女性向けをコンセプトにした「Floral Kiss」。第1弾から1年半を経て登場した第2弾製品
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