脳裏をよぎるのは、顔にセロテープを貼って目や鼻を引っぱり上げる、お笑い芸――。同じ“テープ貼り効果”でフェイスラインをすっきりさせるという冗談みたいな商品が、コスメ市場でヒットを飛ばしている。昭和2年創業の化粧品メーカー、ウテナの「リフタージュ たるみ引き上げテープ」だ。中高年女性に向けた「テープの貼り方」講座は大入り満員。「目立たない」のをいいことに、おばさま方はこっそり貼って外出するらしい……。

「大手メーカーにはできないニッチコスメで攻める」

 創業87年、ウテナは女性向けを主とする「セルフ化粧品」の分野で、化粧雑貨を含むスキンケア商品およびヘアケア商品を製造するメーカーである。

※「スキンケア」商品とは、洗顔料、化粧水、乳液、クリーム、化粧下地までが対象。口紅やアイシャドーなどのメーキャップ関連は含まない。

ウテナの主力商品。女性向け商品が9割以上を占める。中心顧客層は50~60代
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一番人気の化粧水。「これ、母親が使ってた!」など、ボトルに見覚えのある読者もいるのでは?
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マ-ケティング部の廣津 誠部長

 市場におけるウテナの位置をまず確認しておこう。化粧品市場は従来、百貨店や専門店で美容部員が対面販売する「カウンセリング化粧品」が主力の大手メーカーと、ドラッグストアや量販店で消費者が自由に手にとって購入できる「セルフ化粧品」を扱う中堅・中小メーカーとで構成され、両者の棲み分けができていた。しかし、10年ほど前からボーダーレスの状況が続いている。高級化粧品が苦戦する一方、お手頃価格で支持を集めるセルフ化粧品の需要が好調のため、大手がセルフの分野にも相次いで新商品を投入、ドラッグストアやコンビニエンスストアを通じて販売を始めた。

 「現在は、我々のような一般品のメーカーと、資生堂やカネボウのような大手メーカー、さらに最近はロート製薬や富士フイルム、サントリーなども参入し、海外ブランドもあわせて、さまざまな業態の会社がひしめき合って市場を形成している状態」と、マ-ケティング部の廣津 誠部長は話す。

 半年間に500種類以上のスキンケア商品が発売されるが、主要な小売りの店頭に並ぶのはその1割。参入障壁の低い化粧品業界で、ウテナは「大手にはできないニッチコスメ」(廣津さん)の開発に注力する。ターゲットを絞り込み、より細かな消費者のニーズを的確にとらえる商品だ。