プロヴィンシャルシリーズ「トリッスルベンチ」(飛騨産業)
主材はナラ。奥行きは42cmで、高さは43cm。幅は167cm、182cm、197cmの3種類あり、希望小売価格はそれぞれ17万1000円、17万4000円、17万6000円
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多機能日常家具のよさ

 イギリスの普段使い家具が好きである。地方のパブなどで人々がガヤガヤ集う場所に置いてある家具は、木を使い頑丈でそっけないデザインのことが多い。用の美という言葉が民芸にあるが、美しいなどといわれたら照れるような家具がせっせと日常をこなしている感じがよい。どこにいっても同じようなというよりほとんど同じものなのも、食とその周りのものに関しては多種多様の極みの日本から訪れると、「あーこれでいいんだ」と妙に納得する。

 仕事がらたくさんの家具をみてきたが、自宅用のダイニングセットを購入したことはただ一度だけである。それまでは実家から放り出された簡易な組み立てテーブルを使い続けていた。椅子は別のダイニングセットのもので、ちぐはぐなことこのうえなかった。なのに購入を躊躇していたのはテーブル選びに迷ったからではない。椅子をどうするかという問いに答えが出なかったからだ。

 住宅・建築・インテリア担当編集者は誰もが椅子フェチである。名建築家の著名チェア、各国装飾スタイルの歴史的名品、いまをときめくデザイナーズチェアなどに日々接していると、脳内の自宅イメージはスゴイことになっているのだ。ところが悲しい現実に直面する。椅子は高価。椅子は場所をとる。

 一脚の椅子が余白を含めるとどれだけ空間を占拠するのかを知る身としては、狭いマンション住まいなのに大人数を招いて宴を開く日常と、気に入った椅子を置いた心地よいリビングルームの接点が見つからなかった。

 ここで冒頭のイギリスと話がつながる。そうだ、ベンチだ! とある時ひらめいた。ベンチの最大の利点は座る人数の調整が可能なこと。イギリスのパブでも大男たちが新たに参加した仲間のために嬉しそうにベンチの席を詰め詰めしていたではないか。

 こうしてベンチ探しが始まった。

大人数が座っても2本のベンチで足元はすっきり
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