ソニー 平井一夫社長
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 ソニーが、PC事業の売却を決定した。

 売却先となるのは投資ファンドの日本産業パートナーズ。同社と、2014年3月末までに正式契約し、7月1日を目処にPC事業を譲渡。日本産業パートナーズは新会社を設立し、これを引き継ぐ。ソニーは、2014年春モデルを最後として、PC事業を収束することになる。

新会社の社名には「VAIO」が使われる?

新会社はソニーイーエムシーエス 長野テクノロジーサイトを拠点とする
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 新会社は独立した事業会社として、VAIOブランドのPC事業の企画、設計、開発から製造、販売まで事業全体に携わる。設立当初は、これまでの商品構成を見直したうえで、日本を中心にコンシューマーおよび法人向けPCを、適切な販路を通じて販売することになるという。

 売却金額や新会社の社名などは未定だが、3月末までの正式契約や、7月の新会社設立などにあわせて明らかにされるだろう。筆者の勝手な予想だが、新会社の社名には「VAIO」の名前が使われるに違いない。

 新会社は、ソニーのPC事業の拠点となっている長野県安曇野市の長野テクノロジーサイトに置き、ソニーと国内関連会社でPCの企画、設計、開発、製造、販売などに従事している社員を中心に、250~300人程度で操業を開始する計画だ。経営の執行は、VAIO事業を統括するVAIO&Mobile事業本部長である、赤羽良介業務執行役員SVPが新会社に移籍し、同氏を中心とした体制で行うという。長野テクノロジーサイトは、ソニー社内では「VAIOの里」と呼ばれているが、この名前もそのまま継承されることになりそうだ。

 現在、VAIO事業部には約1100人が在籍しているので、残りの人員は、ソニーグループの他部門への転籍のほか、社外への転進を支援するために、早期退職支援プログラムを実施するという。

 そして、新会社の立ち上げと円滑な事業移管をサポートするため、設立当初はソニーが5%を出資する。

VAIO&Mobile事業本部長 赤羽良介業務執行役員SVP(中央)
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もはやVAIOでは「ソニーらしさ」が創出できない?

 「苦渋の決断だった」と、ソニーの平井一夫社長はPC事業の売却について語る。

 だが、PC事業の売却を決定した背景には、エレクトロニクス事業の再生、ひいてはソニーそのものの再生が、もはや予断を許さない状況にあるという事情がある。

 平井社長は、社長就任以来、エレクトロニクス事業の黒字化を必達目標として掲げ、事業構造の改革に取り組んできた。だが2013年度もそれは達成しえない。しかも今回、連結業績の通期見通しの下方修正では、最終損益を300億円の黒字から、1100億円の赤字とした。さらに、エレクトロニクス再生の最重点課題であるテレビ事業は10年連続の赤字。株式市場からの評価を得るためには、もはや、なりふりを構っていられない状況にあるともいえる。

 そうした状況下、将来のソニーが描く姿にはPC事業は不要と判断し、自力でのPC事業の黒字化も断念したといえるだろう。

 平井社長は、「モバイル領域では、スマートフォンおよびタブレットに集中する」と述べ、これらの事業領域ではソニーらしい製品を作ることを宣言した。会見でも「Xperia Z1」や「Z1F」が、ソニーが目指す「One SONY」を実現する製品と位置づけて説明していたほどた。

 言い換えれば、VAIOの最大の魅力でもあった「ソニーらしさ」が、もはやVAIOでは創出できないと判断したのではないだろうか。

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