化学反応と核反応は関係するエネルギーが桁違い

 この違いは、化学反応と核反応のエネルギー発生の仕組みの違いからくる。原子は中心の原子核と周囲の電子で構成されている。燃焼は化学反応だ。つまり原子の周囲にある電子が個々の原子の間を行き交うことでエネルギーが出る。一方、核反応は原子核が分裂したり融合したりすることで、エネルギーが発生する。

 電子の動く範囲に対して、原子核はとても小さい。電子を含む水素原子は、ウラン235の原子核に対して2万倍もの大きさがある。

 実は、自然には「小さければ小さいほど、なにかをするためには大きなエネルギーが必要で、逆に出てくるエネルギーも大きくなる」という性質がある。日常世界では、大きなエネルギーを使えば大きな仕事ができるが、原子のような極微の世界では全く逆なのだ。

 物理学の最先端では、巨大な粒子加速器という装置を使って、原子核を構成するさらに小さな粒子である素粒子の研究を行っている。極微の素粒子を研究するのに巨大な加速器が必要な理由は、「小さいからこそ、より巨大なエネルギーが必要になる」からである。

 さて、微生物を含む生物は、化学反応を使って生きている。化学反応と核反応では、必要なエネルギーが大ざっぱにいって1000万倍も違う。「放射性セシウムを消す」というのは、放射性セシウムの原子核を変化させる、つまり核反応を起こすということである。1000万倍もの差があっては、化学反応では核反応を起こすだけの大きなエネルギーを発生させることができない。