噴火対策コンパクトセット 6090円。1人分×5セット(2万8875円)、10セット(5万5650円)もある(画像クリックで拡大)

 噴火の被害から身を守るためのアイテムをまとめた「噴火対策コンパクトセット」が売れている。セットに入っているのは、防塵マスク(2枚)とゴーグル(1個)、使い捨て携帯トイレ(1回分)、ウェットティッシュ。発売元であるシーノン(東京都品川区)代表の上地忍氏によると、2013年8月21日の発売以来、東京、神奈川、千葉、埼玉などからの注文が急増しているという。

 防災士でもある上地氏は、2012年5月に噴火災害対策用品のネット通信販売サイト「噴火.com」を開設。防災グッズの販売や噴火に関する情報発信などを行っている。地震に比べ、噴火にはどんな被害があり何を備えるべきかが分りにくいため、多くの人たちからのアクセスがあるそうだ。

 コンパクトセットを発売した背景には、東日本大震災時に多くの帰宅難民が出た教訓がある。防災グッズは自宅に常備するタイプが主流だが、外出先から安全に帰宅するためのグッズが必要と感じ、携帯できるセットを企画した。「地震と違い、噴火は長期間にわたって火山灰が降り注ぎます。火山灰はマグマが砕けた小さな『ガラス片』であるため、粘膜を傷つけ、結膜炎や網膜剥離、気管支炎、呼吸器障害などを引き起こします。また、降り積もった灰によって電車や飛行機が止まったり、高速道路の封鎖、下水道のつまりによるトイレの使用不可なども予想されます」と上地氏。こうした非常時に備え、プロの消防士が使用する日本性の高機能な商品を採用した。例えばゴーグルには曇り止め加工が施され、メガネとの併用も可能、マスクは灰やほこりが入りにくく、どちらもよりフィット感を高めている。ウェットティッシュは3年間の長期保存が可能だ。

 「専門家が今、最も懸念しているのが富士山の噴火です。20世紀以降、マグニチュード9を超える地震が発生したあとは、100%の確率で、数年以内に近くの火山が噴火するというデータがあり、東日本大震災後の連動が心配されています」と上地氏は話す。富士山はこれまで100年に1度は噴火してきたが、ここ300年ほどは大きな動きがない。そのため、莫大なエネルギーを蓄えていると考えられるのだという。

 同社では、富士山観光中に噴火が発生した場合を想定し、ヘルメットとゴーグル、マスクをまとめた「富士山噴火対策セット 観光携帯用」も販売し、注意を呼びかけている。

 富士山が噴火した場合、都心部に至るまで広範囲に火山灰が降り注ぐ。「このセットの購入者は、ほとんどが関東近県在住の個人の方々です。深刻な被害が及ぶとされる静岡や山梨だけでなく、離れた地域に暮らす人たちの関心も高まっていることを実感しています」と上地氏は話している。

(文/池田明子=JVTA)