スペインのガストロノミー界を世界に伸し上げた人物と言えば、ミシュラン3ツ星レストラン「エル・ブジ」のシェフ、フェラン・アドリア。バルセロナの隣県ジローナにあったエル・ブジは予約待ち3年が当たり前の世界で、1番予約が取れないレストランとしても有名だった。2011年7月に惜しまれながら扉を閉めたエル・ブジ。2年後の2013年、エル・ブジ閉店後も立ち止まることなく動き続けるシェフ、フェラン・アドリアとエル・ブジのラボで常に新しい作品の研究に励んでいた弟のアルベルト・アドリアのプロジェクトを追ってみた。

豪華な顔ぶれが揃ったプロジェクト「BCN5.0」

BCN5.0のメンバー。左から二人目がカリスマシェフ、フェラン・アドリア。その右がBCN5.0では現場監督的な弟のアルベルト。「ティケッツ・バル」にて
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 2013年秋現在、「エル・ブジ」閉店後、フェラン、アルベルト兄弟がオープンした店は3店ある。スペインでは、店舗を1店オープンするためにコンセプトを練り、物件探しなど具体的に動き出して店がオープンするまでにかかる時間は平均約2年。費用もかなりかかるだろう。にもかかわらずこともなげにポンポンと新店舗を生み出せるのは、アドリア兄弟のネームバリューだけでなく、共同経営者の存在も大きい。彼らがタッグを組んだのは地元の人気シーフードレストラン「リアス・デ・ガリシア」などの経営で知られるイグレシアス3兄弟。フェランは彼らの店を年25回は訪れていたと言う。料理の分野は異なっても、その料理の風味に一目置いていたのだろう。

 彼らが掲げるプロジェクト名は「BCN5.0」。フェラン、アルベルト、イグレシアス3兄弟の5人からなる共同経営の5.0。そしてコンセプトの異なる店を5店オープンする予定だから5.0なのだそうだ(店舗数は増える可能性あり)。では、最初にオープンした店から見ていこう。