グライダーはグライダーから撮るのがベストだ。写真はグライダー(グローブG103・ツインIIIアクロ)から他のグライダー(グローブG103・ツインII)を撮影したもの。両機ともほぼ同じ形の前後に座席があるタンデム配置グライダーで、風防が大きいので撮影しやすい。夕暮れで斜めから太陽が差し込んでいる。群馬県板倉町にある日本グライダークラブ板倉滑空場で撮影
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 筆者はこれまで数多くのグライダーを色々な角度から撮影してきたが、飛行機ではなくグライダーや小さなエンジンを搭載したモーターグライダーから撮影することも多かった。グライダーが飛ぶ速度は飛行機に比べて遅いので、飛行機から撮影するとどうしてもグライダーを追い抜きながらになり、撮影チャンスが限られてしまうからだ。これがグライダーやモーターグライダーからなら、飛行速度がほぼ同じなので一緒に飛べることや、同じような飛び方(機動飛行)ができることがエンジン付きの飛行機から撮影するのに比べて大きなアドバンテージとなる。

後上方から撮影したグライダー。零戦の空中戦の模様を描いた小説にも出てくるが、パイロットにとって死角である後上方から狙われると絶体絶命になるという。写真では高度が低いように見えるが、実際には飛行場に帰り着くのに十分な高度を確保して撮影に臨んでいる
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 当然のことながら撮影は二人乗り、つまり複座の機体に搭乗して行うので、撮影機のパイロットとの意思疎通はとても重要である。パイロットと横に並ぶ座席配置(サイド・バイ・サイド)は声や手ぶりでも比較的コミュニケーションが取りやすいが、パイロットと前後に並ぶ座席配置(タンデム)は機内電話(インターコム)を使わないとコミュニケーションが取れない。

 グライダー同士の撮影では、エンジンが無いので自力で上昇はできないこと、つまり機体の高度を自由に変更できないのが唯一のもどかしい点になる。ただしお互いが同じ熱上昇気流(サーマル)の中を飛行していれば、両方とも上昇するので相対的な高度は変わらない。また、グライダーを飛行機から撮影すると真上や真後ろからの画像は撮影しにくいが、グライダー同士だと比較的撮影しやすくなる。これはグライダーの胴体が細く、風防が大きいので、利用可能なカメラアングルが広くなるからだが、これも空撮では大きなメリットだ。

グライダーから撮影するとこのように真上からのショットも可能である。畑の幾何学的模様が面白い。グライダーの長大な主翼は主翼の翼端から生ずる渦の影響を少なくして、主翼の性能を上げるためのもので、この機体は翼幅が15m。機体によっては30mを超えるものもある
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