(C) 2013「くちづけ」製作委員会
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 知的障害のため、30歳になった今もなお子どもの心を持ち、天使のようにピュアな笑顔を浮かべる娘と、彼女に精一杯の愛情を注ぎ、男手ひとつで育ててきた父──。これはそんな一組の親子が紡ぎ出す、切なく悲しい愛の物語だ。

 主人公は元マンガ家の愛情いっぽん(竹中直人)と、その娘のマコ(貫地谷しほり)。いっぽんは、かつて「長万部くん」というヒット作を生み出した人気マンガ家だったが、マコを出産後すぐに妻が亡くなったことと、マコに障害があったことから、マンガ家を休業。以来、30年の歳月が経っていた。

 物語はいっぽんがマコを連れ、知的障害者たちの自立支援のためのグループホーム「ひまわり荘」に住み込みで働こうと、訪れるところから幕を開ける。

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 ひまわり荘は、主人で医師の国村先生(平田満)、その奥さんの真理子(麻生祐未)と娘のはるか(橋本愛)らが面倒を見ており、マコと同じように心は子どものまま、体は大人の4人の入居者たちが住んでいる。

 ここでマコは、やたらとテンションの高いうーやん(宅間孝行)と仲良くなる。その姿を遠くから見守り、目を細めるいっぽん。実はマコはこれまで、いっぽん以外の男性を恐がり、決して心を開かなかったのだ。

 もちろん、天使のように無邪気なものの、一般常識を気にしない住人たちのこと、トラブルは付きものだったが、それでもある種のユートピアのような居心地の良さに、いっぽんもマコも、これまでにない平穏さを感じていた。だが、実はいっぽんには、人には言えない秘密があった──。