コスプレをするときに必要なものは多々あるが、仕上がりを大きく左右するアイテムが「ウイッグ」。「コスプレの対象となるアニメやゲームの主人公は逆立った金髪や赤や緑など、現実にはありえない色や形をしている。いくら衣装を完璧にそろえても、髪の毛が黒い日本人ではウイッグがないとさまにならない」と語るのは、コスプレ用ウイッグ専門メーカー「エアリー」社長の杉山あずさ氏。

人気の「ライオンカット」をベースにしたアレンジ。二次元の世界を立体的に表現するためにはスプレーやワックスで固めたり、ときに接着剤も用いることもある
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ウイッグを自分でカットしたり染めるなどして、よりキャラクターの世界観に近づける。そのためには加工のしやすさも大切な条件
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システムエンジニアからウイッグメーカーに転身

 杉山氏は元システムエンジニア。まったく畑違いのIT業界からコスプレの世界に足を踏み入れたのは、あるファンタジー系オンラインゲームにハマったのがきっかけだ。もともと手先が器用でものづくりが好きだった杉山氏は、ファンタジーの世界を再現するためにゲームのキャラクターの衣装を趣味で作り始めた。しかし自分でその衣装を身につけて写真を撮ってがく然としたという。

 「北欧系のキャラクターなのに髪の毛が黒いというだけで世界観が台なし。自分がイメージした世界観を完璧に実現するためにはウイッグが不可欠だと痛感した」

 衣装のように自分で手軽に作ることができないウイッグは購入するしかない。ところが中高年向けの本格的なウイッグは数万円から10万円を超えるものも多く、なかなか手が出ない。かといって安価なファッションウイッグは耐久性に欠け、アニメやゲームに登場する奇抜なスタイルに加工できない。ましてや仮装用ウイッグではチープすぎる。そこで杉山氏は「コスプレに特化したウイッグを作れば必ずニーズが見込める」と考え、ウイッグ業界を徹底的にリサーチした。

 「ウイッグは中高年向けを手がける大手メーカーが大きなシェアを占めていたが、10~20代のコスプレイヤーには高嶺の花。ただちょうど中国のメーカーがネットで安価なウイッグを販売し始め、大手メーカー一辺倒だったウイッグ業界が変化し始めていたころでもあった。そこにメイドインジャパンで手ごろでクオリティーの高いウイッグを開発すれば、必ず活路が見い出せる」とエアリーを5年前に立ち上げたのだ。