今回のお題は、ニコンが2013年3月に発売したデジタル一眼レフカメラ「D7100」だ。APS-C型CMOSセンサーを搭載した「DXフォーマット」の製品ラインでは最上位となる高性能モデルだが、落合カメラマンはオートフォーカスの精度やRAW撮影時の連続撮影性能に期待していたほどの性能を見出せなかった様子。以前と比べ、フルサイズ一眼レフが多くの人に手の届く存在になったいま、高性能APS-C一眼レフが目指すべき方向とは?

 私は、「D7000」には心を動かされなかった人間である。「D300」を2台所有し一定期間、仕事で使っていた実績がありながら、ついにD7000の購入には至らなかった。D300と比較して、カメラ部の感触(メカ的な感触=シャッターを切ったときのフィーリング)が今ひとつに思えたのと、画質面で買い換えを急ぎたくなるほどの“進化”が見られなかったことが、D7000に手を出さなかった主な理由だ。

 でも、ここにきてD7000をちょっと見直していたりする。意外にバランスの良いデジタル一眼レフだったんじゃないかと。D7000を愛用してきている人にしてみれば、何を今さらいっとるのじゃ!?って感じだろうけれど、すんません、今さらながらそんな気になってしまいました。何故か? D7000の後継機(とはニコンはいっていないハズだが)である「D7100」が、バランスを欠くモデルになってしまったように感じたからだ。新しい彼女と思ったよりも気が合わないんで元カノに戻りたい、みたいな……感じぃ?

APS-C型の撮像素子を搭載するニコン「DXフォーマット」の最上位となる「D7100」。写真のズームレンズ「AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR」が付属する16-85 VR レンズキットの実勢価格は19万円前後
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位相差AFとコントラストAFで「違い」が生じる!?

 バランスを欠くと思わせる要素のひとつは、想像以上にピント精度にシビアなこと。レンズとの相性もあるのだろうけれど、遠景でカリッとした仕上がりを得るのがとても大変なことになってしまったように感じるのだ。これは、レンズ自体の描写能力じゃなくAFの話。ピントの精度を徹底的に追い込まないと、せっかくの「ローパスレスの2400万画素」が活かせないとの手応えなのだ。

 以下に掲載した作例は、ごく普通にファインダーをのぞいて撮影したもの(位相差のシングルAFで撮影)と、ライブビュー撮影に切り替えて撮影したもの(コントラストのワイドエリアAFでの撮影)の比較。ファインダーで撮影しているものも、それ単体で見れば、じゅうぶん納得できる仕上がりではある。これを「さすがはローパスレス! 解像力がハンパない!!」と評するユーザーもきっといるに違いない。

 しかし、もう一方のライブビュー撮影した方を見てみると……おっと、こちらの方が明らかに精細な仕上がりになっているではないか。これらの作例は、いずれも「AF-S DX 16-85mm F3.5-5.6G VR」を使用し、絞り優先AE(F5.6)で撮影している。すべての比較において、ライブビュー撮影の方がわずかにアンダーな仕上がりになっていることから、仕上がり上の明るさの違いが印象を左右する面はあるかもしれない。しかし、その点を排除しつつ画面中央部の描写に着目すると、いわゆる精細感や解像感(仕上がりから感じ取れる解像力)は、ライブビュー撮影している方が明らかに上。この差は何なのだろう?

▼ファインダー撮影(位相差AF)
▼ライブビュー撮影(コントラストAF)
▼ファインダー撮影(位相差AF)
▼ライブビュー撮影(コントラストAF)
▼ファインダー撮影(位相差AF)
▼ライブビュー撮影(コントラストAF)

 私は、ファインダー撮影している方がわずかにピンぼけなのだと判断した。位相差AFがピントを追い込めきれていないのだ。でも、これって、ひょっとしたら「ピント精度の許容範囲」に収まっている程度のズレなのかもしれない。今までは見えにくかったものが、DXフォーマットのローパスレス2400万画素で見えてきてしまった……そんな可能性もある。

 ちなみに、D7100を借用して使ったのはこれが2度目。最初に借りたD7100と同レンズの組み合わせだと、位相差AFの前ピン傾向がもっと顕著だった。キットレンズになっている16-85mmは過去に所有していたことがあり、そういえばその個体は、D300との組み合わせにおいて「ワイド端のみ前ピン」という症状を呈していたことがある。「ローパスレスの2400万画素って、どれほど素晴らしいものなのかと思ったのだけど、ちょっと期待外れだったなぁ」なんて思っている人は、念のためAFの精度を疑ってみるといいかも? 調整の余地があるかもしれない。