女性にとって下着は、たしか“秘めごと”のアイテムだったはずだ。なのに今や、駅ナカで飛ぶように売れる。東京メトロ表参道駅構内の商業施設「エチカ表参道」に出店するワコールの下着ショップ「AMPHI」(アンフィ)は、ガラス張りの店舗に、ブラやパンツがずらり。中が丸見えなのだ。これ、OLが仕事帰りに物色しているところを会社のオヤジたちに見られる心配はしないのか? 出店の狙いと売れる理由を探った。

東京メトロの駅ナカ商業施設「エチカ表参道」に出店するワコールのSPA型ブランドショップ「AMPHI(アンフィ)」
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店舗は、東京メトロ表参道駅A4、A5出口に近いゾーンに位置する
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「アンフィ」エチカ表参道店は15.8坪。春の新作インナーがずらりと並ぶ
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“食品とも競合するような駅ナカ立地”で女性の下着を売る

 「AMPHI」(アンフィ)は、国内の下着市場で3割超のトップシェアを誇るワコールが展開するSPA(製造小売)型ブランドショップ。全国68店舗(2013年3月現在)中、東京メトロ表参道駅構内の商業施設に2005年オープンした「エチカ表参道店」は、丸ビル(東京都千代田区)B1Fの丸の内店と並び、東京地区のアンフィを代表する旗艦店の1つとなっている。

 20~30代半ばのOL層をターゲットに下着を販売するアンフィの売上高は、2012年は前年比118%の71億6600万円。もともとキャリア~シニア層向けの高価格ランジェリーを主力とするワコールだが、「リーズナブルな商品展開に積極的に取り組んだ結果、ここ数年の業績は好調。エチカ表参道店は売上高も大きく、安定して推移しています」。小売事業本部 アンフィ営業部 販売企画課の西村智徳課長はこう評価する。

 「商業施設は、お客さんのいる所へ出て行きます。大都市圏では、駅の地下街から改札口近くまで、徐々に営業エリアを広げ、ファッション雑貨も10年ほど前から駅ナカに多数出店しています。私どもの商材もファッション雑貨と同じカテゴリーと考え、今後もチャンスがあればこの業態を推進したいと考えています。ただ難しいのは、駅ナカは施設のテナント数が少なく、競合が非常に熾烈なこと。出店そのものが食品とも競合しますから」(西村課長)。

 “食品とも競合するような駅ナカ立地”で、なぜ女性の下着が売れるのか?

 駅ナカは「人が多い」とはいえ、移動途中の乗降客が主体。傘やアクセなどのファッション雑貨ならまだしも、売るのは服の下に着けるインナーだ。大っぴらに売るアイテムか? 試着も必要だろう。ヒラヒラのフリルが付いたブラやパンツを手に取って吟味する姿を、ガラス越しに、会社のオヤジたちに見られる心配はしないのだろうか。

 と思うが、「いえ、下着というアイテムの位置づけが変わったんです」。40代半ばという西村課長は、旧世代と若い女性との下着観の違いを指摘する。

売れ筋のコーナー。ワコールのセレクトショップ「アンフィ」では、取扱い商品の9割以上をワコールグループのオリジナル商品で占める
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「アンフィ」エチカ表参道店は駅ナカにあるが、商品構成や店舗レイアウトは他の立地店と変わらない
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アンフィでは、ブラジャーとショーツはセット販売でなく、別売りが基本。その価格帯は上下で2000~7000円と、他のSPA型下着ショップと比べて商品構成が幅広い。もともとワコールが大きな市場シェアを持っていることが背景にある
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