「高齢者向け返済特例制度」とは?

 結局のところ、浩二さん夫婦はリフォームの原資を退職金とせず、住宅金融資金支援機構(旧住宅金融公庫)から借りることにしました。今回のコラムでは「高齢者向け返済特例制度」を紹介したいと思います。

 この制度の融資上限額は、浩二さん夫婦がリフォームに使った費用と同額の1000万円となります。またこの融資の連帯保証人は高齢者住宅財団が引き受けてくれますので、頼れる親族がいない高齢者でも活用できるのもメリット。またこの借り入れに対する返済額は毎年発生する利子だけに限られますので、その負担は非常に軽いものとなります。


高齢者向け返済特例制度を利用すると(融資額1000万円の例)

機構の耐震改修工事のリフォームローン (金利は年2.26%)
月々の返済額=1万8833円(利息のみ)

※金利、返済額は、2012年6月時点の金利で試算。詳しくは住宅金融資金支援機構のウェブサイトを参照)

 手元に資金を残しつつ思い切ったリフォームに踏み切れるので、とても便利なこの制度。意外と知られていない制度なのですが、返済方法が「借り入れた本人が亡くなったときに一括返済」となっていることに注意が必要です。

 遠い将来、浩二さんの最期が訪れたときにキャッシュがないと、自宅を売却して返済するか、それができなければ子供たちに頼ることを考えなければなりません。そのときに典子さんが元気であれば、きっと浩二さんとのセカンドライフを楽しんだ自宅の売却は避けたいと思うでしょうから、ある程度の現金は持っておく必要があると思います。

 今回、浩二さん夫婦は、第46話(80歳は長寿ではない! “定年後30年”にいくら必要?)で差し引いたセカンドライフの賃貸資金4320万円(=12万円(家賃)×12カ月×30年間)と同額で中古の一戸建てを一括払いで購入しましたので住宅資金は相殺され、浩二さんがもらった退職金だけが上乗せされる形となります。

【2697万円 + 1500万円 = 4197万円】

著者

山田英次(やまだ えいじ)

山田英次

ブレインズパートナー有限会社代表取締役、ファイナンシャル・プランナー。
私立麻布高校を卒業し、慶應義塾大学にて国際経営学を専攻。外資系金融機関を経て、独立系金融コンサルティング会社を設立し、現在は主に全国各地で開催される講演会を通じてのアドバイスを精力的にこなす。住宅購入、教育資金、セカンドライフに向けた資産形成など、個人の生活に密着したコンサルティングにおいて、多くの実績があり、幅広く支持されている。URL:http://www.brains-p.com/