即断即決で「終の棲家」を購入! 

 そんな話をしてから1カ月後、退職金がすでに振り込まれていた夫婦は、これまでの賃貸住宅の近くに一戸建てを購入しました(みなさんは忘れているかもしれませんが、2年前のコラムでも一瞬でクルマの購入を決断しているこの夫婦の得意技は「即断即決」なのです!)。

 かといって、何も考えずに「えいやっ!」で決断したわけじゃありません。これからの生活を踏まえ、住宅展示場で見た素敵な新築ではなく、中古の一戸建てを手に入れました。さらに興味のあった野菜作りは毎週通える範囲の郊外の畑を借りてチャレンジすればよいことに気づきました。買うときに夫婦が重視したのは下記の3点です。

(1)いざというときに頼れる、30年以上過ごしてきた街の人たちに囲まれた安心感
  (結婚してからずっと住んできた街の地縁を大切にしたい)

(2)大きな病院が近くにある利便性

(3)交通アクセス
  (子供たち夫婦が遊びに来やすい場所で、新幹線の駅や空港まで1時間程度)


 たしかに庭で野菜作りができる一戸建てを(新幹線や空港から遠い)郊外に買ってしまうと、子供たちが大きな荷物を抱えて実家に戻って来るときは大変かもしれませんね。

リフォーム費用の原資はどうする? 

 さて、この住居の購入費用はこれから30年間賃貸に住むものとして別枠に計上していた4320万円(=12万円(家賃)×12カ月×30年間)を充当しました。これで夫婦はローンを組むことなく終の棲家を手に入れたことになるのですが、実際に住んでみると60歳以降の夫婦が住むのには少し使いづらい面があることに気づきました。

 それは、下記の3点です。

(1)リビング、ダイニング、トイレは1階なのに、寝室が2階にある
  (年を重ねるうちに夜中のトイレなどが辛くなるのではないか)

(2)洗濯機が1階にあるのに、干す場所は2階のベランダだけ

(3)部屋が細かく分かれている
  (2階に5畳の部屋が2つあるが、それを一つにしたい)


 そこで夫婦は「リフォーム」を決断しました。上記3点の改善のほか、屋根の補修や壁の塗り直し、キッチン、バスルームなどの水回りの一新、耐震工事、バリアフリー工事など合わせて総額1000万円になってしまいました。

 ここで悩んだのが「これを現金で支払うか、ローンを組むか」の選択です。

 たしかに1500万円の退職金は入ってきたのですが、リフォーム費用を現金で支払っていいものか、少し迷っています。夫婦のどちらかが介護状態になったために老人ホームに入ったなどという話を近所でもよく聞くようになったのですが、みんなが口をそろえて「入居金が高かった」と言っていたからです。

(イラスト/渡辺鉄平)
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