今回の「アジアコレクション」を取り仕切るトップが、ファミリーマートの小坂雅章常務。「なぜファミリーマートがやっているの?」という疑問をぶつけてみました。

ファミリーマート常務取締役で海外事業本部長の小坂雅章氏(右)。イベントが成功してひとまず安心した様子
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――ファミリーマートがファッションと結びついたことに驚きました。アジアでコンビニエンスストアを展開するときにファッションがどのように役立つのかも含め、その狙いは?

 一番の理由は、ブランディング活動の一環です。「ファミリーマート」の看板を世界共通に出しているなかで、いかに共通のブランドイメージを作っていき、お客様に認知と浸透を高めていくか。そのためにアジアコレクションを利用している感覚です。今回のイベントをしたことで、「ファミリーマートはこんなこともできるんだ」と、我々に対するイメージはきっと変わると思うんです。

 高齢化が進む日本に対し、東南アジアは平均年齢が低く、20代前半~後半が中心層です。今年は開催予定がないですがインドネシアでは27歳前後、フィリピンは22歳前後とかなり若い。店舗への集客を考えるといかに若い人たちに根付かせていくかが重要です。その意味でファッションは、現地の若者の興味も高く、日本発の10代20代向けファッション誌も流通しているので、受け入れてもらいやすいと思いました。

――そもそもの経緯は?

 一昨年に沖縄が「琉球コレクション」をスタートしたとき、現地沖縄ファミリーマートの社長と何かアジアで共通一緒にできないかという話になりました。グローバルで展開しているので、お店の看板だけでなく、共通の話題性で販売促進やキャンペーンを各国と一緒にやっていく流れを作りたかったんです。

――タイに来て、日本のコンビニエンスストアが当たり前にあることに驚きました。とはいえ、ファミリーマートがタイに進出したのは20年前。浸透させるのは大変なことでしたか? また現地企業と合弁会社にするメリットは?

 タイに進出したのは1993年、3年前に黒字化しました。海外に進出した場合でも、一般的には7~10年で黒字に転換していくのですが、東南アジア進出はタイが初めてでローカライズするポイントをつかむまで時間がかかりました。中国、台湾、韓国以上に、東南アジア地域は、民俗性、文化、食、生活習慣が日本とは大きく違います。日本のやり方でやろうとしてはうまくいきません。それが時間をかけて経験を積みローカライズしてきたことで、やっと勘どころが分かってきました。コンビニを現地で身近な存在にしていくためには、地域の力、地元の力がものすごく必要です。また、日本以上に東南アジアは政治と経済の結びつきが強いので、それらの事情が理解できて法律も含めてとなると、現地企業と合弁会社をつくりローカルパートナーと組むほうがうまく進んでいくんです。

――今回、バンコク版の「アジアコレクション」でモデルコンテストをしたのは、そういう“現地と結びつきたい”という意図の表れでしょうか?

 そうですね。いかに地元と密接になれるか。来年は、店舗に来たお客さんからノミネートして出場権を得る仕組みも考えたいとも考えています。

――ファッションってコンビニでは買えないじゃないですか。今後の店舗運営に活かすところはありますか?

 これからは商品につなげていくでしょうね。出ているモデルたちがプロデュースした、お菓子、デザートとか。モデルが使っているコスメとか。そういう日本が持つコラボレーションの仕組みをどうアジアに普及させていくか。商品のつくり方や雑誌と一緒にタイアップしたり、メディアといっしょにやっていくことをこれから考えていこうと思っています。

――一つひとつのメーカーが店舗を通してつながる、ファミリーマートがその中心になる感覚ですか?

 今回のイベントの目的として、グローバル化しようとアジア展開する日本企業の橋渡し的存在になれればという思いもあります。日系メーカーがアジアを展開するときに、ファミリーマートに「一緒に何かできませんか」と相談してくれるケースは多い。今回はサントリーさんが大きくバックアップしてくださいました。店頭ではサントリーのお茶「みらい」のキャンペーンも行いました。こういうイベント、キャンペーンを通じで、各メーカーさんと販売体制を組み、一緒にグローバル化していければ。店頭を使ってもらう機会が増えるのは我々にとってもプラスです。日系企業であっても、現地は現地のやり方でやっています。小売業である我々が、海外と日本の架け橋としてつないでいく。そういったメーカーさんと巻き込んでやっていく仕組みを考えていく。そのつなぎをどれだけ機能させられるかが今後の課題ですかね。

――今後の「アジアコレクション」の展望は?

 内容は毎年見直したほうがいいと考えます。各国がファッションショーでいいかというと違っていて。現に、今回3月に開催するホーチミンでは日本のファッション自体がさほど認知されていないため、現地アーティストのライブをメインにします。若い女性、男性が何に興味を持ち、反応するのか。中身はファッションショーにこだわっているわけではありません。もっと楽しくお客さんが反応するステージであれば、どんどん取り入れていきます。