アプリ・サービスは今年も大きな動きが

 インフラ、端末面では、大きな変革の波が過ぎ、昨年のような劇的な変化は見られないと予想される。だが一方で、ある程度スマートフォンの普及や利用が進んだことから、スマートフォン向けのサービスやアプリを取り巻く状況には今年も大きな変化があると筆者は見ている。

 キャリア各社、特にNTTドコモとau陣営は、サービス面で、今年戦略の大きな変化を迎えると考えられる。NTTドコモは従来、「dマーケット」で高速インフラとスマートフォンをサービスに結び付ける取り組みを積極的に進めてきているが、それらの取り組みが一巡した今後、サービス面でどのような新戦略を打ち出してくるかは、低迷が続く同社の今後を占う上でも重要になってくるだろう。

 au陣営に関しても、昨年までは「au ID」を軸として、端末やネットワークを問わずサービスが利用できる「スマートパス構想」を推し進めてきた。だが昨年10月に、KDDIの田中孝司社長が、スマートパス構想の完成を宣言。やはり今年以降、どのようなサービス戦略を進めてくるのか、注目されるところだ。

 キャリアだけでなく、ネット関連企業の動向にも注目すべきポイントは多い。昨年は、無料通話・メッセージアプリの1つ「LINE」が8700万ものユーザーを集めて存在感が増した。「comm」や「カカオトーク」などの対抗サービスも急速に台頭するなど、スマートフォン上で利用するアプリやサービス、さらにはそれを提供する企業に大きな注目が集まる1年だった。今年もその傾向は続くと見られ、人気のコミュニケーションやゲーム関連を中心に、スマートフォン上のサービスを巡る主導権争いは一層激しくなるものと予想される。

 アプリ・サービスという側面で言えば、もう1つ、今年大きな変化が予想されるのがタブレットに関する動向だ。というのも、昨年後半、iPad miniやNexus 7など安価な7インチクラスのタブレットが急速に台頭したものの、従来ユーザーが少なかったこともあって、タブレット向けのアプリやサービスに関してはまだあまり開拓が進んでいないのだ。それだけに、タブレットの利用が広まりつつある今後、タブレット向けとしてどのようなアプリ・サービスが台頭してくるかにも、注目しておく必要があるだろう。

昨年注目を集めたメッセンジャーアプリの「LINE」は、現在世界230カ国で8700万会員を集め、1億ユーザーを目指す巨大サービスへと成長した
[画像のクリックで拡大表示]

著 者

佐野 正弘(さの まさひろ)

 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。