昨年は“激動”というべき大きな変化を迎えた日本の携帯電話・モバイル関連業界。今年はどのような変化が起きると考えられるだろうか。インフラ、端末、サービスと、3つの側面から今年の傾向を考察してみよう。

激動から一転、今年は粛々と進むインフラ整備

 昨年非常に大きな動きが見られたのが、モバイルインフラに関する動向だ。特に昨年は、年初から900MHz帯の割り当て競争に沸き、さらにその後700MHz帯の割り当て先も決定するなど、「プラチナバンド」と呼ばれる周波数帯の割り当てに大きな注目が集まった。さらに9月には、iPhone 5発売に合わせてauとソフトバンクモバイルがLTEサービスを開始。先行するNTTドコモと共に、高速モバイルブロードバンド通信が大きく花開くこととなった。

 そしてもう1つ忘れてはならないのが、ソフトバンクモバイルが「イー・モバイル」ブランドでモバイル通信事業を運営するイー・アクセスの買収を発表したことだ。これによりソフトバンクモバイルは、LTE向けとして海外でも多く利用されている1.7GHz帯に加え、割り当てが決定したばかりの700MHz帯をも入手。周波数不足に悩まされていた同社が、一気にNTTドコモやau陣営に匹敵する帯域を手に入れた。しかしその一方で、新興キャリアの存在意義や、国から割り当てられた帯域を買収で獲得することへの是非が問われるなど、さまざまな課題も残すこととなった。

 このように、日本のモバイルインフラを巡る動向は、昨年非常に大きな変化があったといえる。では、今年は一体どのような変化が起きるのか。筆者は昨年とは裏腹に劇的な変化が次々と起きる可能性は低いと見ている。800MHz帯の再編やプラチナバンドの分配により、大きな周波数帯域の分配がひと段落したのに加え、3陣営がLTEを主体とした高速通信サービスの提供を開始したことで、今後はその品質が競争に大きく影響してくる。それゆえ、当面は、既存のインフラ拡充に力を注ぐものとみられるからだ。

 とはいえ、今後新たな周波数帯域の割り当てがないとも限らない。というのも、昨年、総務省が5MHz×2幅分の1.7GHz帯と、モバイル放送「モバHO!」の跡地となる2.5GHz帯の30MHz幅の確保に向けた参入希望調査を実施しているからだ。特に前者は、従来この帯域の獲得を希望していたイー・アクセスがソフトバンクモバイルに買収されたことで、割り当て動向に大きな変化が起きると見られる。

 しかしながら、双方の帯域に関しては、周波数帯の割り当てに際し、オークション制の導入も検討されており、その法案成立に向けた動きによっても、割り当て動向が大きく変化してくる。法案の成立には国会の審議が必要なだけに、携帯電話業界だけでなく、政局の動向にも目を配る必要があるだろう。

昨年は900MHz帯など「プラチナバンド」を巡る争いが起きたり、LTEなど高速通信サービスの提供が本格化したりするなどモバイルインフラを巡り大きな動きが相次いだ
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