はじめに
 1月11日の連続ドラマ『まほろ駅前番外地』(テレビ東京系)スタートにあたり、日経エンタテインメント!では、作品のディープな世界観を皆さんに楽しんでもらうべく、日経トレンディネットでウェブ連載を開始した。

 「まほろ駅前番外地 くらしの手引き」と題したこの連載は、ドラマの脚本と監督を担当した大根仁氏による、作品テーマ、登場アイテム、人物などのちょい語り。監督が描く「まほろ」という街の”くらしの手帖”として、ドラマ鑑賞にお役立てください。

 深夜帯ということもあり、視聴率が高いとは言えないかもしれませんが、熱度の高いファンは生まれそう――。2月4日発売の日経エンタテインメント!本誌でも作品の特集を組みます。メガヒットが生まれにくいと言われるなか、視聴率からは見えない“熱度”を持つ作品こそ、今のエンタ界を支えているからです。

第1話 あらすじ
 多田便利軒として受けた仕事先でたまたま出会った男(永澤俊矢)から、「引退試合の対戦相手になってくれ」と依頼を受ける多田(瑛太)と行天(松田龍平)。この男はかつて、まほろを拠点にインディープロレスの悪役レスラー・スタンガン西村として活躍していた人物。しかしいまやその団体のレスラーは彼だけになってしまった。50歳を迎えるのを機に、妻や子どものために引退し、真面目に働く決意したというのだが……。

インディープロレスについて

 ドラマのエンドロールにもクレジットされたので気がついた方もいると思いますが、この話には元ネタがあります。(テクノユニットの)電気グルーヴのピエール瀧さんの地元・静岡の中学時代からの友達の話です。

 瀧さんによると、いまだにインディー団体でプロレスラーをやってるという知人がいて、ある日、その友達から瀧さんに、「引退試合のリングアナをやってほしい」って電話がかかってきた。で、実際に行ってみたら、それが真っ赤なウソで…と、まるでドラマみたいなことがあったというのが、ある雑誌の対談連載に載っていたんです。その面白さが強烈に記憶に残ってて、これは機会があったら使ってみたいと思ってたんですよね。

 今回『まほろ』を撮るにあたって何本かオリジナルのストーリーを書いたんですが、プロデューサーの孫(家邦)さんが「初回は派手にいきたいね」って言ってたのもあって、この話を第1話にしました。多田と行天のキャラクター設定からすると、二人が走り回ったり暴れ回ったりするって考えにくい。よほどのことに巻き込まれない限りはね(笑)。それで、「あ、そういえばあの話があるな」って思い出したのがこれです。

 「便利屋」って仕事柄、探偵なんかよりもより案外フレキシブルにいろんなことが降り掛かってくるだろうし、「引退試合の対戦相手になってくれ」って依頼もありだなと。画的にも派手になるし、なおかつ、オフビートになりがちな設定やキャラクターを、何かに巻き込まれた状況で能動的に動かすこともできる。二人が(マスクをかぶって)レスラーの格好をするのもあり得なさそうで面白い(笑)。それで瀧さんのマネジャーに直接電話して「あの話、使ってもいいですか」って聞いたら、「どうもこうも、是非に」って言ってくれました(笑)。