「ネガティブな言葉をポジティブに変換 ネガポ辞典」(ネガポ辞典制作委員会著/主婦の友社刊)1050円(画像クリックで拡大)

 ネガティブ(後ろ向き)な言葉からポジティブ(前向き)な表現が引ける辞典「ネガポ辞典」(主婦の友社)が好調だ。2012年9月28日に初版1万部で発売されたが、11月後半から書店の注文が殺到するようになり、12月初旬に2刷8千部、中旬に3刷1万部が決定した。

 短所を示す言葉や、悪口のような印象を与えそうなネガティブな言葉が50音順で並んでいるが、それぞれに視点を変えたポジティブな表現を掲載している。例えば「悪趣味」は「自分の世界を持っている」、「ひきこもり」は「蝶になる前のさなぎ」「戦士の休息」、「三日坊主」は「三日間も集中して物事にとりくむことができる」という具合。読者からは単純に「面白い!」という声以外に「自己分析に悩んでいたから就職活動に使えそう」、「気持ちの切り替えができていい」といった声が寄せられている。「ネガティブモデルの栗原類さんに読ませたい」という声もあったとのこと。

 もともとは2010年の全国高等学校デザイン選手権大会3位となった札幌平岸高校(札幌市)の生徒のアイデアをもとに作られた無料辞典アプリとして注目されていた。たまたまテレビでその紹介を見ていた同社編集者が「面白い」「書籍化に向いているコンテンツだ」と直感。書籍化の企画を立て、道内の大学に在学する著者らを訪ねて打ち合わせを重ねた。その際、「とてもまっすぐに物事と向かい合う人たち」という印象を強く持ったため、編集に際してはシニカルな読後感にならないように細心の注意をはらった。また「著者と同世代の高校生、大学生だけでなく幅広い年代の人に読んでもらいたい」と考え、職場の人間関係に悩んでいる人、営業先の相手との会話がうまくいかない営業マン、子どもとのコミュニケーションに困っている両親など、さまざまな想定読者をイメージした。「無料アプリをそのまま書籍化しても意味が無い」と考え、書籍オリジナルのワードを400以上追加。会話・メールでの言いかえ使用例なども増補し、アプリ愛用者だった人も楽しめるようにしている。アプリとの差異化のため、デザインなどでも書籍としての辞典らしさを強く打ち出した。

 すでに辞典アプリとして人気が高かったことや、著者が北海道在住であることから北海道の書店から注目されていたことから、同社では北海道地区には重点的に配本し、初版1万部でスタートした。北海道内で発売後すぐに売り上げベストテン入りする書店が多かったため、同社の営業部はその実績をもとに全国の書店での営業を強化。売り上げが伸び始めた11月に、朝日新聞(11月14日夕刊)、日本経済新聞(11月27日夕刊)ほか地方紙などでも紹介が相次ぎ、一気に認知が拡大した。購入しているのは想定読者とほぼ同じで、10~50代と幅広い世代の男女。「日本人は否定から入りがちだったり、ネガティブに考えがちだったりする面がある。この本で、物事の良い面にも目を向けられる人が増えてくれればうれしい」と同社販売部広報宣伝課の長友薫氏は話す。

(文/桑原恵美子)