真空二層構造とは、保温保冷型の水筒に使われる、真空の層を作って、そこからの熱の出入りをカットする構造の事。熱は、輻射、対流、伝導によって伝わるが、その内、対流と伝導については空気がない所では届かない。さらに、光を反射する金属であれば輻射熱も届かないので、その保温力はとても高い。真空であれば、それだけで熱を通さないため、真空の層を薄くすればするほど、保温力は同じで、よりコンパクトなカップが出来上がる。

 新潟県の燕三条にある、日本では唯一の、金属で真空二層構造のカップや水筒を作る事が出来る工場で作られた真空チタンカップは、熱い飲み物を注いでも、平気で手で持てる。そのくらい、外部に熱を逃がさず、冷たいモノを注いでも、結露しないため机を濡らす事もない。丈夫で清潔で軽いチタン製だから、とにかく軽くて、たっぷりの飲み物を入れても、特に重さが苦になることがない。熱い飲み物でも冷たい飲み物でも関係なく、しっかりと握れるから余計に重さを感じないのだ。

「真空チタンカップ ロングカップ S-300MZ」(SUS Gallery、実勢価格2万4150円)
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 この真空二層構造は、当たり前だが、二層部分が少しでも接触していると、そこから熱が逃げてしまう。そのため、現在の技術では、円筒状のものしか作る事が出来ない。四角い形などにすると、真空の層を保つことができないのだ。

 そのため、通常の真空カップは完全な円筒形が多く、デザイン的に見るべき部分は少ない。どうしても、無味乾燥なデザインになりがちだ。ところが、この真空チタンカップは、表面に微妙な凹凸があり、それが手になじみ滑り止め的な機能にもなっている。また、表面の色を塗装ではなく、結晶構造の反射によって出しているため、その微妙な色合いが、金属そのものの美しさを感じさせてくれる。そんな器としての面白さにもこだわって作られているのだ。

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 「機能に偏らず、生活の中で美しさを感じられる製品を作りたいと思っています」とSUSのデザイン担当者は話す。毎日使うものは、そこに「使いたい」と思わせるデザインが必要。そのため、職人さんや工場の方々と、かなり濃密な打ち合わせや実験を重ねて作り出した製品なのだ。だからこそ、他には無い、機能的なのに、器として愛でることもできるカップに仕上がっている。

 この「真空チタンカップ ロングカップ」は、温かい飲み物をたっぷり300mlも注ぐことができて、それを、ゆっくり飲んでも最後まで冷めない。縦長のフォルムは、香りが拡散しないので、ホットウイスキーやコーヒーなどの芳醇な香りをたっぷりと楽しむこともできる。もちろん、熱々の飲み物を注いだ直後でも、しっかりと握れるし、口に当てる部分も熱くない。ただ、本当になかなか冷めないので、猫舌の方は注意が必要。それだけの能力を持ちながら、どんな場所に置いても様になるデザインなのだ。しかも、チタン製だからスチール製のような金属臭さが皆無。飲み物本来の味や香りを、そのまま伝えてくれる。


(文/納富 廉邦)


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