先週、ヒット映画「アメイジング・スパイダーマン」などのDVDをTSUTAYA(ツタヤ)が独占的にレンタルできるようになるのは不当だとして、中小レンタル業者が自分たちにもレンタルを認めるよう訴え出た、という報道があった。この問題は非常に重要なインプリケーションを含んでおり、その推移を注視すべきではないだろうか。

何が問題なのか

 問題の経緯を簡単に記しておこう。報道によれば、映画「アメイジング・スパイダーマン」など4作品の発売元であるソニー・ピクチャーズエンタテインメントが、入札でDVDレンタルの契約先をツタヤに決定し、他のDVDレンタル事業者にはレンタルを認めない内容の独占契約を近く締結する可能性があるという。

 これに対して、中小のDVDレンタル事業者14社がソニー・ピクチャーズエンタテインメントを相手取り、自分たちにもレンタルを認めるよう求める仮処分を東京地裁に申し立てた。レンタル事業者は、「今回のような大作で独占契約を結ぶのは前代未聞であり、今までの慣習どおり、どの事業者にもレンタルをする権利があるはずだ」と主張している、とのことである。

 ちなみに、これまでツタヤは約100作品のDVDを独占的にレンタルしているが、今回のような大ヒット作は入っていないとのことだ。

ソニー・ピクチャーズエンタテインメントは、映画やテレビ番組などソニーグループの映像コンテンツを担う。9月14日に公開された『バイオハザードV:リトリビューション』は、興行収入が30億円を突破し、観客動員数も200万人を超えるヒット
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 それでは、なぜ今回のように大ヒット作にまで独占契約が及ぶことになったのか。

 第一に、レンタルビデオ市場の低迷が挙げられよう。日本のレンタルビデオの売り上げは5年前の約3600億円をピークに減少の一途をたどり、昨年は約2500億円にまで減少した。レンタル店舗の数も7年前には約7900店舗あったのが、今年は約5100店舗にまで減少している。

 そうした中で、少しでもレンタルビデオの売り上げを増やすためにツタヤがヒット作の独占契約を狙うのは、ある意味で当然のことと言えよう。

 そして第二に、映画配給元も同様に収益の低迷に苦しんでいたはずである。映画ビジネスは、まず映画館で公開し、その後にDVD販売、CATVなどのペイチャンネルでの放映、DVDレンタル……と一定期間毎に映画の出口を変えていく「ウインドウズ戦略」が取られることが多い。しかし、ネット上での映画配信の普及に伴い、米国でも日本でも興行収入は頭打ちとなり、DVD収入は年々激減している状態である。

 従って、ソニー・ピクチャーズエンタテインメントとしても、各ウインドウからの収益の合計を最大化するために、これまでより高いMG(ミニマム・ギャランティ)が得られる可能性がある独占供給を選んだのかもしれない。

 つまり今回の問題は供給側と需要側の経済合理性が一致した結果に他ならない。米国ではオンラインDVDレンタル会社のネットフリックスに代表されるようにDVDレンタル事業者がネット配信にどんどんシフトしている。こうしたなかツタヤは、DVDという衰退ビジネスを維持するために、独占契約という新しい手法を取り入れたと評価することもできよう。