スマホとタブレット型端末は、今年に入って世界中で一層急速に普及しているが、これらモバイル端末の普及がネットに関連する2つの常識を覆しつつあることを見逃してはならない。1つは“ネットワークの経済性”というネットビジネスを語る際の常識であり、もうひとつは特許制度の意義である。

フェイスブックに見るソーシャルメディア・バブルの終焉

 フェイスブックの株価の凋落は皆さんもご存知であろう。5月の株式公開時の価格は38ドルだったのが、先週は19ドルとほぼ半値にまで値下がりした。しかし、こうした憂き目に会っているのはフェイスブックだけではない。その他の株式を公開した著名ソーシャルメディア企業の株価も同様である。

 例えば、オンライン・クーポンのGrouponは、公開時の株価は20ドルだったが、先週は4.75ドルにまで下がった。ソーシャルゲームのZyngaも、昨年12月の公開時の株価は10ドルだったが先週は3ドルにまで下がった。

 株価が健闘しているソーシャルメディア企業でも、Yelpは3月の公開時の株価が23ドルに対し、先週は22ドルであった。LinkedInも、公開初日の最高値は122ドルだったが、先週は102ドルであった。

 こうしたソーシャルメディア企業の株価の低迷を受け、TwitterやLivingSocialという株式上場予備軍は様子見モードに入っている。1年前はソーシャルメディアが“next big thing”だと盛んに言われたが、今やソーシャルメディア・バブルは完全に崩壊した感がある。

Grouponの株価も公開時から大幅に下がっている
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 もちろん、各企業毎に株価の低迷の具体的な理由は異なるが、共通するのは、ソーシャルメディアの成長は“ネットワークの経済性”を前提としていたということである。ユーザー数が増えれば、その友人なども加入してユーザー数が更に増加して、自然独占を形成して広告収入が増大する、という考えである。

 しかし、この“ネットワークの経済性”が機能するためには、ユーザー数と収入の両方が早い段階で加速度的に増える必要がある。フェイスブックについて言えば、ユーザー数については確かに加速度的に増えたが、収入については株主の期待を裏切ることになった。

 何故か。それはモバイルのプラットフォーム上でのマネタイズの方法がまだ見つからないからである。そう考えると、モバイルは“ネットワークの経済性”というこれまでのネットバブルを支えてきた理論も覆しつつあると考えることができるのではないだろうか。

 もちろん、フェイスブックが今後モバイル上でのマネタイズの方法で新たなイノベーションを起こす可能性は十分にある。しかし、かつて栄華を誇ったMySpaceの例からも明らかなように、“ネットワークの経済性”には、一度評判が下がったらユーザ数の減少も加速度的に進むという諸刃の剣の側面があることを忘れてはならない。

 その意味で、フェイスブックがグーグルのように“ネットワークの経済性”を活用した勝ち組に残れるかは、時間との争いなのである。