バックの演奏やジャケットまで、80’sサウンドを“まんま再現”した新人

 2曲目の『あの空の向こうがわへ』は、29歳の男性ボーカル、ジャンク フジヤマさんのメジャーデビューシングルです。

 この曲は、ずばり、80年代に日本で流行っていた「シティーポップス」が、現代よみがえっちゃったみたいなサウンドだね。南の島の空港が写っているジャケ写のノリも、思いっきり「エイティーズ」じゃん。

 すごいのは、単に昔っぽく歌っているだけじゃなくて、バックの演奏も、完璧に当時のサウンドを“再現”していることです。まるでタイムマシーンで80年代に戻って、当時の機材でレコーディングしてきたみたいで、楽器の音色も、プレーのスタイルも、すべてが衝撃的なくらい“昔のまんま”なんだよ。正直言うと、僕はあんまり詳しくないジャンルなんだけど、80年代ごろの山下達郎さんの音楽が好きな人なら、きっと懐かしくてたまらないんじゃないかな。

ジャンク フジヤマ
『あの空の向こうがわへ』
6月20日リリースのメジャーデビューシングル。「憧れの時代のサウンドを再現したい気持ちは、同じミュージシャンとして、すごくよく分かります。僕もいつか、50年代のエルヴィス・プレスリーのサウンドを完全再現してみたいよ(笑)」
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 3曲目の『第三惑星交響曲』は、茨城県出身で28歳の男性シンガーソングライター、石崎ひゅーいさんのデビューミニアルバムからのリードトラックです。

 彼のボーカルは、自己流だけど、すごくエモーショナルだね。歌ってる最中の声に“震え”がひしひしと感じられて、心の中の“叫び”とか“泣き”がすごくリアルに伝わってくるタイプのボーカルです。

 最近のJ-POPでは、ボーカルをオートチューンでデジタル加工して、きれいに整えちゃうことが多いけど、このひゅーいさんみたいなボーカルは、オートチューンは絶対にできません。ちょっと音程のチューニングがズレてたとしても全然許せちゃうし、むしろ、そのままの方が、親密で魅力的に聴こえるんだよ。

 曲の方は、サビ以上に、何度も何度も繰り返されるAメロの力強いメロディーが印象的でした。歌詞の言葉のチョイスもすごく素敵だから、ボーカルメインでじっくり聴き込んでみてほしい曲だね。

石崎ひゅーい
『第三惑星交響曲』
7月25日リリースのデビューミニアルバム『第三惑星交響曲』の表題曲。「エレファントカシマシの宮本さんを思い出すようなドラマチックなボーカルが印象的。歌の邪魔にならないように、シンプルなアレンジに徹してるところは見事だね」
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著者

マーティ・フリードマン

 90年代、ヘビーメタルバンド、メガデスのメンバーとなりアルバムセールスを1300万枚超えの世界的なスーパーバンドへと導いたギタリスト。その後、J-POPに興味を持ち、メガデスを脱退。活動の拠点を東京に移し、ミュージシャンやプロデューサーとして活動している。11年9月には好評のJ-POPカバーアルバム第2弾『TOKYO JUKEBOX2』を発売した。発売中のSMAPの最新アルバム『GIFT of SMAP』(ビクター)では、木村拓哉のソロ曲『La+LOVE&PEACE』の作・編曲とギター演奏を担当するなど、他のアーティストへの楽曲提供、アレンジ参加など多数。日本の音楽や日本語の魅力について、外国人やミュージシャンならではの視点で様々なメディアにおいて語っている。「日経エンタテインメント!」の連載「J-POPメタル斬り」も大好評。公式ページはこちら