鋳鉄製のダッチオーブンは、ふたに炭を乗せたり焚き火の中に置いたりして食材にじっくり火を通せる調理器具。キャンプ愛好家などに人気だが、非常に重いというデメリットがあった。

 そこでアウトドア用品メーカーのスノーピークが、ダッチオーブンならではの調理性能を損なわず軽量化することを目的に開発したのが「燕三条極薄鋳鉄 和鉄ダッチオーブン」だ。「軽くすることで取り扱いが容易になれば、キャンプのときだけでなく毎日の生活の中でも使える。鉄鍋の良さを日常にもっと生かしてもらいたいと考えた」(スノーピーク開発部開発室の林良治氏)。

燕三条極薄鋳鉄 和鉄ダッチオーブン30の実勢価格は1万7800円
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 鉄の鍋を軽くするには、できるだけ薄くすればよい。しかし「薄くする」と言うのは簡単でも、実際に製品化するとなるとハードルはぐっと高くなる。「フライパンなどに見られる鉄製の薄い製品は、鉄の塊を削って作っている。同様の方法でダッチオーブンを作ることも可能だが、非常に高コストで、量産しても価格が数十万円になってしまうので現実的ではない」(林氏)。

 薄くて軽いダッチオーブンを実現するにはどうすればいいか考えあぐねていた時、協力関係にある鋳物工場から提案されたのが、「ダクタイル鋳鉄」という製法で鍋を作ることだった。ダクタイル鋳鉄は工業用鋳物では古くからある手法で、一般的な鋳鉄法と比べて精密な形成が可能なため、機械部品などに用いられている。「鋳物工場から持ち込まれた試作品の鍋は、あまりの薄さにとても鋳物とは思えないほどだった。これなら軽いダッチオーブンが作れるのでは、と期待が高まった」(林氏)。

常識を打ち破る薄さのダッチオーブンは、鋳物工場の職人たちとスノーピーク開発部の二人三脚によって生み出された