みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの山田英次です。

 子供たちを社会に送りだしたことで達成感を抱いていた浩二さんと典子さんですが、今になって自分たちの人生にもう一つの大きな課題があることに気付いてしまいました。

 前回のコラムで60歳から90歳までの30年間を毎年400万円の支出で生活していくと、1億2000万円という大金が必要になることが分かってしまったのです。少しぞっとしてしまうかもしれませんが、この課題は何も浩二さんと典子さんに限ったものではありません。当たり前ですが、このコラムをご覧いただいているみなさんにも共通する課題なのです。

 老後というと何となくずいぶん先の縁遠いことのように感じるかもしれませんが、時はあっという間に流れます。老後については過度に心配する必要はないのかもしれませんが、準備なしで臨むのは無謀なステージでもあります。

 今回のコラムでは、みなさんにおおよそのイメージをつかんでいただきたいと思います。

年金ってどれくらいもらえる?

典子さん: ねえ、改めてこれまでの給与明細を見てみると、これまで納めた厚生年金って相当な金額になるけれど、これってちゃんと戻ってくるのかしら。
浩二さん: そんなこと全然気にしていなかったけれど、昔、会社の説明会で聞いた話だと65歳から毎月だいたい20万円くらいもらえるらしいよ。
典子さん: ちょっと~。「らしい」のまま放っておかないで、ちゃんと確認しようよ。そういえば、この間届いたねんきん定期便、封もあけてないじゃない!
浩二さん: おっ、そうだった。ちょっと見てみようか。
あれ、けっこうもらえるみたい! 年間200万円以上はもらえるみたいだぞ。
(イラスト/渡辺鉄平)
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典子さん: 私も働いていた時期が10年くらいあったから、国民年金だけじゃないはずなんだけれど、どれくらいもらえるんだろう?
浩二さん: 「だろう」って、典子だってちゃんとねんきん定期便見てないってことじゃない?
典子さん: えっ、私は浩二さんと違ってちゃんと封を切っているわよ! ほら。
でも見方が分かりにくくて……。い、一緒にしないでよね! (汗)

 日本ではなぜか、社会人になって年金を支払うようになるまでは、年金制度を詳しく説明してもらう場面がありません。年金だけでなく、所得税や住民税などの仕組みも、学ぶ場がなかったという人が大半ではないかと思います。

 年金をはじめとする社会保険料や各種税金を納めるのが国民の義務ならば、義務教育でその必要性や仕組みを教える機会があるのが当然だと思います。しかし、なぜかそのような場が与えられることはありません。

 結果として、浩二さんや典子さんのように受け身の会話になってしまうことが多々あります。知識のない2人は日本年金機構から届くねんきん定期便の受け取り(予想)金額を100%信用するしかないのですが、本来であれば自分でも記載された金額の妥当性を確かめたいところですよね。