東京スカイツリー、ダイバーシティ東京 プラザ、渋谷ヒカリエ……2012年上半期はさまざまなスポットが開業した。そんな華やかな話題の中、さほど目立たないが実は一大プロジェクトが進行しつつある。それが、JR中野駅周辺の再開発事業だ。連載では、「中野」という街がどう変貌しようとしているのか、各方面に取材し、お届けする。

 2012年7月1日、中野駅と北口広場(サンプラザ南側)をつなぐ東西連絡路(歩道橋)の完成式が行われ、通行できるようになった。東西連絡路にはエレベーター、エスカレーターなどが設置されている。またこの東西連絡路および北口広場の暫定整備工事完了により、中野駅北口から、北口の顔とも言えるアーケード通りの商店街「サンモール」まで、傘を差さずに通り抜けることができるようになった。

 こうして進められている中野駅の北西部の再開発プロジェクトでは、駅周辺の整備や大規模なオフィスのほかに、大学の新キャンパスや学生向け施設の建設が予定されている。

 完成後は産官学の連携による街づくりの構想もある。新たな“街の顔”となる大学側の考えと、迎える側の地元商店街が寄せる思いを取材した。

明治大学が4番目にして約60年ぶりの新キャンパスを開設

明治大学「中野キャンパス」完成イメージ
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 来年春に中野で新キャンパスを開設する大学は、明治大学と帝京平成大学の2つ。そのうち明治大学では、旧警察大学校跡地の再開発地区「中野四季の都市(まち)」において、約1.6haの敷地に地上14階建ての学舎を建設する。そこに和泉キャンパスから国際日本学部が移転し、新たに総合数理学部(※注1)が開設される予定だ。ほかに国際日本学研究科などの大学院研究科と、数理科学系の研究機関も設置される。同大学としては駿河台・和泉・生田に次ぐ、約60年ぶりの新キャンパスとなり、2016年度には合計で2500人ほどの学生・大学院生が通うことになる。

 「都心に直結の中野駅に近接する立地は、国際化や先端研究、社会連携の拠点として新たな教育の場にふさわしい場所だと考えています。国際日本学部は新旧の日本文化を学んで世界に発信する学部ですから、クールジャパンとして注目されるポップ・カルチャーに触れるうえでも中野は魅力的です。また総合数理学部でもデジタルコンテンツやIT関連の知識を対象としており、中野で学ぶことは大きな刺激になるでしょう」(明治大学中野キャンパス開設準備室)

生涯教育のための公開講座『明治大学リバティアカデミー』なども開講

 中野区では中野駅周辺のまちづくりに関して企業や大学など関係者と協議を重ね、2007年3月にガイドラインを策定。大学には地域防災拠点としての役割や社会人向けのオープン講座のほか、地域住民や事業者などと連携した共同研究体制などを期待するとしている。明治大学もこのガイドラインに沿うかたちで、地域連携に力を入れていくという。

 「防災拠点としては、災害時の避難者の一時受け入れなどを予定しています。東日本大震災の復興支援に関して福島県新地町、宮城県気仙沼市、岩手県大船渡市と協定を結ぶなど、以前から地方自治体との連携を重視しています。駿河台キャンパスなどで取り組んでいる生涯教育のための公開講座『明治大学リバティアカデミー』なども開講します」(同)

 具体的な取り組みについては今後、区などと協議していくという。国際日本学部の学生が授業の一環として昨年10月の『中野にぎわいフェスタ』に参加するなど、地元商店街との交流はすでに始まっているようだ。

2011年の「中野にぎわいフェスタ」より
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※注1 2012年5月現在、設置構想中。名称その他計画に変更が生じる場合がある。キャンパス画像に関しても、CGによる完成イメージのため、竣工時とは異なる場合がある。