新しくなったアップルのタブレット端末「iPad」。“iPad 3”とでも呼んでいいと区別しやすいのだけれど、iPad、iPad 2に続く製品なのに、「新しいiPad」だから区別がしにくい。ディスプレイの解像度が高まったり、デュアルコアプロセッサーを導入したりとスペック上での違いは知っていても、外観はこれまでのiPadやiPad 2とほとんど変わらないところも紛らわしい。それでは、「新しいiPad」の“新しい”部分はどこにあるのか。その一端を解明するために、編集部では内部をのぞいてみることにした。
 分解のプロとしてフォーマルハウト・テクノ・ソリューションズの柏尾南壮さんと日経エレクトロニクス編集部で数々のデジタル機器を分解してきた大森敏行記者を招き、その中身を解説していただいた。新しいiPadの内部の構造、じっくりとご覧あれ。

第一の難関、「どうやって開けるの?」

――今回は既に分解した新型iPadとiPad2を用意してもらった。ただ、iPadのボディーを見ても、ケースを開けるためのネジなどはない。そもそもどうやって開けたのかもレクチャーしてもらった。

柏尾氏:iPadやiPhoneのボディーにはネジがありません。電池の交換すらできない仕組みなので、利用者からすると“開く”ところがどこにもないのです。実は、こういった端末は「両面テープ」で接着してあります。

 両面テープを剥がすには、熱を与えます。iPadの周囲をドライヤーで温めると、接着が緩くなってきます。そうしたら、角に鉄尺(金属製の定規)を割り込ませて、そーっとやさしくはがしていきます。両面テープで接着してあったボディー上部と下部が剥がれるのです。

大森氏:両面テープは100度を超えるような温度でようやく剥がれますから、通常の使用でいきなり真っ二つになるようなことはありません。剥がすときには力を入れすぎるとガラスが割れてしまう危険性があります。

分解のプロ、フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズの柏尾南荘さん。まずはiPadの周囲をドライヤーで温めて、両面テープを剥がします
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液晶側と本体型は1本のフラットケーブルでつながっている。写真右は今回、アドバイザーとしてお手伝いしてもらった日経エレクトロニクス編集の大森敏行記者
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――最先端の端末でありながらドライヤーで温めて両面テープをはがすとは驚き。誰でも分解できてしまいそうだが、分解したら元には戻せないので、試さない方がいいだろう。ではiPadの中身を見ていこう。

柏尾氏:ボディーを開くと、液晶側と本体側は1本のフラットケーブルだけでつながっていることがわかります。これが液晶やタッチパネルと信号をやり取りするケーブルです。

 まず液晶側から構成を確認して行きましょう。表面から見ると、保護ガラスが3枚で構成されていることがわかります。3枚の一番内側のガラスにタッチパネル用の「ITO膜」というものが貼ってあります。よく見ると、ごく薄く茶色がかっていることがわかるでしょうか。この色がITO膜の成分のインジウムの特性です。この膜でどこをタッチしたかの情報を得ているのです。

大森氏:ガラスを3枚貼りあわせているのは、大画面をぐいぐいと押される可能性があるiPadで、強度を保つためだと推定できます。

本体側(奥)と液晶側(手前)を分離
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3枚のガラスの一番内側にタッチパネル用の「ITO膜」が貼ってある
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