人間誰しも美しく生活したいと思っている。それは見た目だけじゃない。中身から美しくということだ。
 それはクルマも同じである。今どきクルマを実用性だけで買う人はいない。だったらトラックやバンでいい。そうではなく、乗る人の身体はもちろん、時には頭や心まで気持ち良くしてくれるから買うのである。それはスタイリングであり、走りであり、質感であり、ブランド性であり、知的興奮を誘うエピソードである。クルマはある意味、五感で味わうプロダクトだ。だから楽しくも難しいのである。
 というわけでこの“ビューティフルカー”では私、小沢が美しさや知的エピソードを中心にクルマを語っていこうと思う。

【コンセプト】これぞアウディの生きる道?

アウディ「Q3」
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 いまやコンパクトSUVは超激戦区だ。日本では1990年代にトヨタ「RAV4」やホンダ「CR-V」が登場。強力な日産「エクストレイル」も追加され、2000年代に突入後は世界的にプレミアム部門が盛り上がってきた。

 きっかけはフォルクスワーゲン「ティグアン」だろう。2007年のフランクフルトショーで登場し、欧州で発売。いわば“ゴルフのSUV版”で、小さくてもプレミアムでヘビーデューティーというイメージで日本でも人気を博した。

 VWの場合、既にラージSUVの「トゥアレグ」が存在したのも良かった。ムード的に近い上、コンパクトで取り回しやすく、装備充実で、300万円台というのが効いた。ブランド性、使い勝手、クオリティー、コストパフォーマンスとすべてを満たしていたのである。

2007年に登場したフォルクスワーゲン初となったコンパクトSUV「ティグアン」。全長4460mm
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