イラストレーター・切符さんのイラストが印象的なライトノベル『のうりん』(ソフトバンク クリエイティブ・GA文庫)640円。文中には太もも、巨乳を強調したイラストも登場する(画像クリックで拡大)

 ここ数年、農業学校の学生生活を描いたマンガ、石川雅之氏作の『もやしもん』(講談社)や荒川弘氏作の『銀の匙』(小学館)がヒットを飛ばしている。農業学校への関心が高まっているなか、同じく農業学校を舞台にしたライトノベル発の作品『のうりん』が話題を集めている。ライトノベル『のうりん』の著者は白鳥士郎氏。ソフトバンク クリエイティブから昨年8月に発売され、現在までに累計14万部を突破している。今年3月からはスクウェア・エニックスのマンガ雑誌「ヤングガンガン」でコミカライズ版の連載がスタート。また4月27日にドラマCD『のうりん』がホビレコードより発売され、さまざまな分野への広がりを見せている。

 このライトノベルは、岐阜県立田茂農林高等学校(通称のうりん)を舞台に、個性的すぎるキャラの高校生たち、担任教師、元アイドルの転校生などが繰り広げる、ドタバタ・お色気・ラブコメディだ。「野菜を盗んだら停学、牛を盗んだら退学」といった校則の下、田植え実習での水着大乱闘、多連装ロケット花火「スーパーひとしくん」や吹き矢を使った猿退治など、思わず大爆笑するシーンの連続。しかも10連発・20連発のギャグの応酬が続き、そのオチが、ページをめくった先の美少女イラストの中にドカ~ンと入るなど、視覚的にも楽しめる仕掛けで、小説の中にグイグイ引き込まれていく感じだ。

 著者の白鳥士郎氏が1年以上かけて実在の農業高校に取材して執筆したもので、発売後も精力的に取材を続けているという。それが、この作品のすみずみに生かされ、リアリティーを与えている。「主な読者層は10~20代の男性ですが、農業高校の生徒やOB、農業関係者の方の感想も多く寄せられ、『パロディネタが面白かった』『キャラクターが良かった』という意見のほかに、農業関連のシリアスな要素を評価する声も多かったですね」(ソフトバンク クリエイティブ・GA文庫編集部)。

 コミカライズ版とドラマCDの登場で、広がる『のうりん』ワールド。もともとライトノベルは「ネットなどの口コミで評判が広がっていったようで、後伸びが良いのも特徴でした」(同)とのことで、多メディア展開でさらに人気が高まりそうだ。

(文/志水京子)